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キリン福祉財団助成金事業
共生社会の実現に向けた社会調査
について

JIL加盟団体のみなさま
こんにちは。JILインクルーシブ教育プロジェクトです。
いつもインクルーシブ教育推進の活動にご協力いただきありがとうございます。

本プロジェクトでは、2022年度よりキリン福祉財団様より助成を受けて「共生社会の実現に向けた社会調査」を実施しています。
この度、インクルーシブ教育の実現に向けて課題になっていることを明らかにし、課題解決に向けた政策提言を行うことを目的に、アンケート調査を実施することとなりました。

アンケート対象者は
①障害のある方と同じ学校で過ごしていた同級生または友人(学校を卒業している18歳以上の方)
②これまでに、障害のある児童生徒を通常の学級または特別支援学級で教えていた教員
③自身が通常の学校で学んでいた障害当事者またはその保護者(学校を卒業している18歳以上の方) です。

上記に当てはまる方に、ぜひアンケートにご協力いただきたいです。
また、該当する方へのアンケートの周知もよろしくお願いいたします。

【アンケート回答方法】
下記の方法から回答しやすいものを選択してください。
①googleフォームで回答する https://forms.gle/AX8KtHDtZ1JPxPxs6
②回答内容をメールで送る office@j-il.jp
③回答内容をFAXで送る 0426-60-7746

【添付資料について】
資料は、Word、PDF、テキストファイルを準備しています。
リンクを右クリックして「名前をつけてリンクを保存」を選択してください。
①【ご案内】共生社会の実現に向けた社会調査について
②【調査実施の同意書】共生社会の実現に向けた社会調査について
③アンケート本文はアンケート回答対象者ごとに作成しています。
・同級生(Word、PDF、テキスト)
・教職員(Word、PDF、テキスト)
・本人保護者(Word、PDF、テキスト)

【回答締切】
11月30日(木)

ご不明な点がございましたら、JIL事務局までお問い合わせください。
TEL 0426-60-7747 FAX 0426-60-7746
Email  office@j-il.jp

国連障害者権利委員 ロバート・マーティンさん講演会
のご案内

 昨年、障害者権利条約の初回の建設的対話(審査)がスイスで行われ、日本政府に権利委員会から総括所見(勧告)が出されました。
 勧告の中で、地域移行とインクルーシブ教育について早急な措置が必要であることが強調されています。
このテーマについて、知的障害当事者で障害者権利委員を務めるロバート・マーティンさんを含む3カ国からゲストを招き、シンポジウムを開催することになりました。
 ニュージーランド、カナダ、スウェーデンの事例を参考に、日本で施設や家族に頼らずに地域で暮らすことの意義や可能性を学ぶ貴重な機会です。ぜひご参加ください。

テーマ:
総括所見を踏まえて脱施設を進めよう!~施設に頼らない地域をどうつくるか~
日時:2023年10月17日(火)13:30 – 16:30
会場:衆議院第二議員会館多目的会議室(対面のみ)

プログラム:

13:30 開会あいさつ / 
来賓あいさつ
14:00 基調講演 講師:サー・ロバート・マーティン(国連障害者権利委員会委員)
14:45 休憩
15:00 シンポジウム 「各国の取り組みと日本のこれからの課題」
登壇者:コリー・アール(Mr. Kory Earle、カナダ)、エミリー・ムティエン(Ms.Emily Muthén、スウェーデン)
指定発言:山田浩(ピープルファーストジャパン)
久保厚子(全国手をつなぐ育成会連合会 顧問)
コーディネーター:田中恵美子(東京家政大学教授)
コメンテーター:尾上浩二(DPI日本会議副議長)
16:30 終了
お申し込み:参加申込は、以下のURLからご確認ください。
https://x.gd/zm0rh

お問合せ先:
認定NPO法人 DPI日本会議
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-11-8 武蔵野ビル5階
電話 03-5282-3730 ファックス 03-5282-0017
メール office●dpi-japan.org  ※●を@に置き換えて送ってください

 

国連障害者権利委員サー・ロバート・マーティンさん講演会チラシ

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選挙権の行使に関する合理的配慮提供
に関する実態調査

各位

JILユース&ニューフェイスPTでは、以下の調査依頼を、都道府県選挙管理委員会と県庁所在地選挙管理委員会へ発出しました。

なお、障害当事者へも調査をお願いしており、以下のGoogleフォームからご回答ください。

テキストファイルからご回答頂ける場合は、必要事項ご記入の上、office@j-il.jpまで、ご提出ください。

★Googleフォーム:https://forms.gle/TmRCVTBT6YVmYHE89

★回答用テキストファイル:20230907-senkyochosa

(回答期限:2023年度10月31日まで)

 

以下、選挙管理委員会宛調査依頼文書

令和5年9月7日

ご担当者 様

選挙権の行使に関する合理的配慮提供についての調査依頼

全国自立生活センター協議会(JIL)
代表  平下 耕三

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。貴職におかれましては、日頃より、障害のある有権者を含む、全ての有権者の選挙権の保障にご尽力いただき、心より感謝申し上げます。
障害のある当事者の選挙権の行使には、これを実現するために、合理的配慮の提供が必要となることがあります。車いすの利用者や、肢体に障害のある人、情報のやり取りに困難のある人など、選挙権を行使するためには、障害の種別を問わず、様々なニーズがあります。
選挙権の行使を支えるための、合理的配慮提供の一環として、コミュニケーションボードを用いて投票を支援する、手話通訳者を投票所に派遣する、音声版選挙公報等の送付を行う等、各自治体で様々な取り組みが行われています。
しかし、自治体ごとに合理的配慮提供の対応が異なり、障害当事者によっては、求める配慮が提供されないことによって、投票の権利を棄権した、投票所職員とのコミュニケーションが取れず誤投票をしてしまった、という事例が当会に寄せられています。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が、平成28年4月1日より施行され、行政機関等に対して、障害のある人への障害を理由とする不当な差別的取扱いが禁止され、合理的配慮の提供が義務化されました。
当会では、選挙権の行使に関する合理的配慮の提供の実態を調査するべく、全国の選挙管理委員会を対象に、アンケート調査票を作成しましたので、提出致します。本調査票への回答は、令和5年10月31日(火)までに、文書で頂戴できますでしょうか。
障害のある人を含む、全ての有権者が安心して投票の権利を行使できるようにするため、何卒ご協力を下さいますよう、お願い申し上げます。また、選挙権の行使に関する合理的配慮の提供に関しまして、ご検討くださっていること、お悩みのことがあれば、是非とも私たちにお話をお聞かせ願いたく存じます。よりよい投票環境の実現に向けて、ご一緒に歩んでいくことができれば、幸甚に存じます。

連絡先
〒192-0046 東京都八王子市明神町4-11-11シルクヒルズ大塚1F
TEL:0426-60-7747 FAX:0426-60-7746 MAIL:office@j-il.jp

以上

 

調査票「選挙権の行使に関する合理的配慮提供について」(書面)

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海老原宏美基金、2023年度助成事業を募集中です

2023_海老原宏美基金募集要項

海老原宏美基金
助成のご案内

2023年度
第1回
申請期間:2023年4月5日水曜日、から、5月12日金曜日
交付予定:2023年6月下旬予定
助成対象期間:2023年4月1日、から、2024年3月31日

1. 助成の趣旨
本助成は、海老原宏美さんの遺志を受け継ぎ、社会変革のための活動に取り組む個人・団体に対して、必要な助成を行い、応援することを通して、誰もが「自分を生きる」ことができるインクルーシブな社会を実現することを目的とします。

2、助成の対象
2の1:対象者
上記の目的の実現に取り組む個人・団体を対象とします。団体の場合、法人格の有無、活動年数、人数は問いません。

2の2:対象となる活動
以下の3つの分野にかかわる活動を助成します。

(1)障害種別をこえた若手障害者の育成と自立支援
社会課題の変革に、志を持って活動する若手障害者の育成に取り組む活動に助成します。

実践例
ア、障害種別をこえた当事者の地域自立生活の実現に寄与する活動
イ、医療的ケアを必要とする当事者の地域自立生活の実現に寄与する活動
ウ、若手障害者へ研修・学習機会を提供する活動
エ、制度情報の資料作成および地域自立生活に関する調査・研究・出版

(2)インクルーシブ教育の普及・促進
障害者権利条約に基づくインクルーシブ教育の普及・促進に取り組む活動に助成します。

実践例
ア、インクルーシブ教育の普及のための研修・学習機会を提供する活動
イ、インクルーシブ教育の普及のための教材・資料を作成する活動
ウ、障害の有無をこえた居場所・遊び場を提供する活動
エ、インクルーシブ教育に関する調査・研究・出版

(3)“自分らしさ”に伴走する介助者の育成
当事者の“自分らしさ”を支え、伴走する介助者の育成に取り組む活動に助成します。

実践例
ア、介助者を対象とした介助に関する研修・学習機会を提供する活動
イ、当事者を対象とした介助に関する研修・学習機会を提供する活動
ウ、制度的な支援が未整備の分野への新規事業の開拓に向けた活動
エ、介助者の生き方・生活保障等に関する調査・研究・出版

2の3:対象となる経費
上記の活動を実施するために必要な次の経費を助成します。
旅費交通費、備品費、消耗品費、印刷製本費、通信費、会場費、人件費、謝金、その他必要と認められる経費。

2の4:助成の対象とならないもの
(1)他の団体等から助成を受け、既に資金が充足している場合
(2)経費の証明ができない場合
(3)政治活動、宗教活動を主たる目的とした活動と判断される場合
(4)犯罪行為につながる活動と判断される場合
(5)助成対象者自身の意思に基づかない内容と判断される場合
(6)事業に直接のかかわりがない個人的な経費、水道光熱費等の経常経費

3、助成金額
1件あたり30万円を上限に、審査によって金額を決定します。

4、申請期間
2023年4月5日水曜日、から、2023年5月12日金曜日

5、助成対象となる活動期間
2023年4月1日土曜日、から、2024年3月31日日曜日
※原則として単年度の助成です。
※6月中旬に交付決定、6月下旬に交付を予定しています。

6、申請方法
「海老原宏美基金、申請書」に必要事項を記入のうえ、海老原宏美基金事務局あてにメールで提出してください。郵送での提出を希望される場合は、別途、事務局にご相談ください。

・提出書類
(1)海老原宏美基金、申請書(推薦者の氏名、連絡先を明記)
(2)活動の様子がわかる資料

・申請書
申請書は、本基金のホームページから、ダウンロードしてください。
https://www.ebifund.org/

7、選考基準・方法
7の1:海老原宏美基金、選考委員会
海老原宏美基金選考委員会が選考します。

選考委員
田渕規子(自立生活センター・東大和/委員長)
小田政利(自立生活センター・北/副委員長)
工藤登志子(自立生活センターSTEPえどがわ)
田中海之(合同会社・ボアソルチ)
玉木幸則(一般社団法人兵庫県相談支援ネットワーク代表理事)
宮澤弘道(東京都公立小学校教員、季刊・福祉労働編集委員)
山田康子(介護事業所管理者、介助者)

7の2:選考基準
以下の5つの基準から評価します。
(1)パッション:目的に対して情熱を持ち、対象者本人が活動を楽しめているか。
(2)草の根性:制度化されていない事業でありながら、広く市民のためになっているか。
(3)価値転換性:発想が革新的で、新しい価値観・考え方を社会にもたらすか。
(4)社会変革性:社会の根本的な問題を見極め、諸制度を変革していくことができるか。
(5)実現性・持続可能性:事業の目的・計画が明確で資金計画に合理性・継続性があるか。

7の3:選考方法
(1)書面審査と面接審査によって選考します。
(2)面接審査について
日にち:2023年5月27日(土)・28日(日) ※いずれか一日
場所:江東区文化センター(東京都江東区東陽4-11-3)
-東京メトロ東西線 東陽町駅 1番出口(エレベーター)より徒歩5分
形態:原則対面、遠方の方や事情のある方はオンライン
詳細:申請状況をみてご連絡します。

7の4:結果通知等
結果は、決定後すみやかに申請者あてにメールで通知します。なお、助成先一覧は、本基金のサイトに掲載いたします。
採否の理由についてのお問い合わせには、回答いたしかねますのでご了承ください。

8、活動の報告および、精算
(1)契約書の提出
選考の結果、助成対象となられた場合は、本基金の「契約書」を提出していただきます。
(2)事業報告の提出
事業実施後は、1か月以内に収支等の事業報告を行っていただきます。領収書等の証憑書類も提出していただきます。
(3)活動報告会
事業終了後に、助成対象者による活動報告会を開催します。ご出席いただき、事業の報告にご協力いただきますよう、お願いいたします。

9、助成金の返還請求
次の(1)から(3)に該当する場合、状況、理由を確認のうえ、助成金の返還を請求させていただく場合があります。
(1)申請された活動内容の一部または全部が履行されなかった場合。
(2)活動の報告が、本基金が定める期日までになされなかった場合。
(3)申請された活動内容に必要な経費以外の目的で助成金が使用されたと判断される場合。

10、個人情報の取り扱いについて
(1)個人情報は利用目的の範囲内で、かつ事業実施上必要な限度内で利用いたします。
(2)法令等の定める場合を除き、事前に本人の同意を得ることなく個人情報を第三者に提供いたしません。

11、申請先
海老原宏美基金事務局
メール:info@ebifund.org

※郵送をご希望する方はお問い合わせください。
〒207-0014 東京都東大和市南街1-22-6シティコート南街
NPO法人自立生活センター・東大和

12、助成に関するお問い合わせ先
メール:info@ebifund.org
電話:03-6666-7506(運営委員:本間) ※平日9:00から17:00
ホームページ:https://www.ebifund.org/

滝山病院の看護師による患者暴行事件に関しての
抗議及び要望

東京都知事 小池 百合子 殿

全国自立生活センター協議会
東京都八王子市明神町4-11-11シルクヒルズ大塚1F
代表 平下耕三
精神障害プロジェクト一同

滝山病院の看護師による患者暴行事件に関しての抗議及び要望

 私たちは全国120か所にある、障害者の権利擁護と地域での自立生活を実現する「自立生活センター」の集まりです。私たちは障害の種別を問わず、人として尊厳をもって地域で自立生活することをサポートし、また地域社会の変革に取り組んでいます。2023年2月15日のマスコミ報道で、昨年4月に滝山病院の看護師が患者に暴行をはたらいた容疑で警察に逮捕される事件が発覚しました。患者を支援する代理人弁護士の2月17日の記者会見によると、「患者約10人から、虐待を受けたとか退院したいとの相談があった」「院内で記録された映像や音声などを分析したところ少なくとも10人以上の職員が暴行や暴言などの虐待行為を行った可能性がある」「被害にあった患者は少なくとも20名になる」と指摘されています。音声データには「もっと本気で行くぞ。腕の骨折るぞ」などの録音もされ、面会時に弁護士に泣きながら「連れて帰ってほしい」と訴えた患者もいたと言います。そして更に、2月25日にNHKで放送されたETV特集「ルポ 死亡退院 ~精神医療・闇の実態~」で明るみにされた内容はあまりにも衝撃的でした。滝山病院は以前から死亡退院者の割合が多いことで知られ、東京都の2022年の6月の実地調査では「国から求められている看護師らを対象にした虐待や人権に関する研修を、十分に行っていない」と口頭指導を受けていると聞きます。私たちは障害当事者として激しい怒りと憤り、深い悲しみを抑えることができません。病院内の虐待を見過ごし、人権侵害を放置した管理者と病院の責任を追求するとともに、患者の人権を軽視した病院運営と現場の人権意識の乏しさに厳重に抗議し、放送されたような実態が真実であれば、滝山病院の解体と廃業を強く求めます。東京都としてもこのような現状が実態としてあることに対し、対処していただきたいと思い、以下をお願いしたいと思います。

 

要望

①滝山病院に入院中のすべての患者に精神的なケアを行い、退院・転院希望の調査をし、希望者に対する退院・転院を滞りなく進めてください。NHKで放送された内容をみると、時には床ずれを深部組織が見えるほど放置し悪化させていました。精神科病院であっても、すべての入院患者の健康状態を把握し、ほかの疾患がみつかれば適切な治療につなげるよう、徹底させてください。

②都に透析等の身体的医療行為ができる精神科病院が限られ、ICUがある病院は滝山病院しかないという状況です。これでは自治体や他の精神科病院も滝山病院を最後の砦として患者を送り出すしかありません。短期的には精神科病院における透析、ICU等身体的医療行為ができる病院を増やし、各病院で対応できるようにしてください。

③将来的には単科精神科は廃止し総合病院に入れるなど、精神疾患を持ったものが社会から隔離され、孤立し、身体的治療が行われない病院がなくなるようにしてください。

④滝山病院管理者、経営者は都の口頭指導を受けていたにも関わらず放置し、このような事件を起こしました。都が2月に行った臨時の立ち入り検査の結果を全て記録・公表し、あらたに調査委員会を立ち上げ、実態を明らかにした上で、滝山病院への責任追及と業務停止命令などの措置を講じてください。調査委員会を立ち上げる際は精神障害当事者も委員に入れ、当事者の声を反映させてください。

⑤病院が患者の通信及び面会の自由に制限をかけないように指導・監督してください。NHKの放送では、弁護士との面会は患者の権利であるのに、実際患者が面会をすると、後から暴言・暴力を加えられていました。また、手紙が投函されずにカルテに挟まれていた患者もいました。
現場の医師・看護師のみならず病院管理者、経営者を含めたすべての人に、改めて人権教育・研修を直ちに行うよう指導し、2度とこのような事件が起こらないようにしてください。都の他の病院にも同じようなことがないように人権教育・研修を制度化してください。
虐待を受けた患者のみならず、内部通報者が不当な取り扱い、不利益を被ることのないよう都独自の対策を講じ、その対策を公表してください。

⑥滝山病院は外来診療もソーシャルワーカーの配置もほとんど無いと聞きます。地域から隔絶された環境は虐待の温床になります。都内に他にも地域に開かれていない病院がないかチェックしてください。医療従事者の学生の臨床実習を受け入れている病院を公開したりして風通しの良い病院を評価するようにしてください。

⑦都内の精神科病院で長期入院されている方の入院期間をいたずらに延ばさずに直ぐにでも地域で生活出来るようにしてください。入院し治療を受け、回復すれば地域にもどる、医療を受けられるように実効性のある地域移行の方策を精神障害当事者と一緒に考えてください。また当事者団体の職員、ピアサポーター、弁護士、支援者などの訪問を常に受け入れ、開かれた病院になるようにすべての精神科病院に通知してください。

⑧毎年の630調査以外に都独自の実地調査を都内のすべての精神科病院で行なってください。報道では元病院関係者のインタビューから、滝山病院では毎回、実地調査の際に拘束具が外され、隠されていたと証言がありました。実地指導を行う際、抜き打ち調査を含め行なってください。また入院患者の人権に関わる身体拘束、虐待、ハラスメントなどの状況を把握するために、都への直通電話を設置すると共に、少なくとも3ヶ月に1回は患者への聞き取り調査を行える体制を作り、病院の実態を漏らすことなく把握できるよう、調査方法を見直してください。

⑨都内の全ての精神科病院に対し、インフォームドコンセントの徹底を通知すると共に、オープンダイヤローグなど治療方針の決定には患者を入れた場を推進してください。その場に支援者や弁護士などが同席できるようにして下さい。

⑩今回の滝山病院の朝倉医院長は旧朝倉病院で40名の不審死や患者への人権を無視した医療行為などを行い一度保険医の資格が停止していました。しかし5年経過以降に再申請を行い、再び保険医として滝山病院の医院長となっていました。朝倉医院長は無期限に精神保健指定医・保険医の失効と医師免許の停止を厚生労働省に求めてください。また虐待・不審死など重大な問題を起こした医師は二度と精神保健指定医、保険医、医師免許の資格が復活することのないような規定に変更するよう厚生労働省に対し求めてください。

⑪都として、精神科特例が虐待の大きな一因であることを理解し、各精神科病院に精神科特例以上の人員を配置するよう推奨し、厚生労働省に対しては精神科特例の廃止を進言してください。

⑫都として地域移行が確実に行われるよう何年以内に何人など人数の目標を具体的にたててください。また虐待0、身体拘束0、隔離0、社会的入院者0という目標を明確に打ち立ててください。

以上

 

滝山病院の看護師による患者暴行事件に関しての抗議及び要望

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ジュディ・ヒューマンさんを偲んで

アメリカの障害者の権利運動家ジュディ・ヒューマンが3月4日にお亡くなりになりました。
謹んでお悔やみ申し上げます。
アメリカのバイデン大統領より声明が出されましたので掲載し以下に当会役員のメッセージを記させていただきます。

バイデン大統領の声明

ジュディ・ヒューマンは、アメリカの障害者権利のための先駆者であり、車いすの戦士でした。車いすを使っているため幼稚園に入れないと校長に言われた時から、ジュディは残りの人生を障害者が本来持っている尊厳のために戦うことに捧げました。 彼女の勇気と激しい擁護の結果、リハビリテーション法、障害者教育法、障害者自立支援法という、障害者の教育、職場、住宅などへのアクセスを向上させる画期的な成果が生まれました。また、ジュディは2つの大統領府で指導的な役割を果たし、複数の障害者支援団体を立ち上げ、現在も国内外の人々に恩恵を与えています。 ジュディとは長い付き合いです。私が副大統領だったとき、ホワイトハウスで一緒に会議を開き、差別や放置されている人々の障壁を取り除くための継続的な取り組みについて話し合いました。彼女の遺産は、私の政権にいる多くの有能な障害者公務員を含む、すべてのアメリカ人にインスピレーションを与えています。 Jillと私は、Judyの夫であるJorge Pinedaとその家族全員に深い哀悼の意を表します。

 


ジュディ、ありがとう。

JIL顧問 中西正司

ヒューマンケア協会の立ち上げを間近に控えた、1986年の1月に、米国の自立生活センターを訪問することとなった私は、当時ダスキンの障害者リーダー養成研修を終えてカリフォルニアのバークレーにいた樋口恵子さんの紹介を受けて、ジュディ・ヒューマンと出会いました。ジュディは、全米各地のセンターのどこを訪問して、誰に会うといいのか、と私の訪米プログラムをコーディネートしてくれ、リーダーたちと繋げてくれました。各地での訪問を終えて、バークレーのジュディのところへ戻って、研修の成果を報告しました。彼女は、私を暖かく迎えてくれて、家に泊めてくれました。私の報告を聞きながら、とても適切な質問とアドバイスをくれたことを覚えています。
このことが縁で、ヒューマンケア協会を立ち上げて2年後の1988年に、日本でピアカン集中講座を開催し、ジュディに講師として来てもらいました。80人を超える参加者が全国から来て、三日間の講座を受講して、とても有意義な時間でした。
その後も、国際障害者年のイベントや、DPI世界会議札幌大会、ブラジルへの訪問など、ジュディとは何度も一緒に仕事をしました。
プライベートでも、ジュディとは、私の妻の由起子も親しく付き合っていました。彼女は日本料理が好きで、てんぷら屋さんに行ったり、すき焼きを一緒に作ったりしました。おいしいと言ってよく食べていたものです。日本に来た時に、一緒に新幹線に乗って移動していた時は、新幹線の乗り換え中に駅売店でいろいろなポッキーを物色していたことなど、日本のお菓子も好きでした。
アメリカを訪問した時に、ジュディが繋いでくれたリーダーの中でも、セントルイスの自立生活センターであるパラクオッドの、私と同じく頚損のマックス・スタークロフとパートナーのコリーンとは特に仲良くなりました。ジュディが危篤の時に、コリーンはすぐに病院へ行きました。ジュディの意識がなくなりかかった時に、コリーンから、「今ならまだ彼女の心に話しかけられるから」といって、私と由起子にメールをくれました。この連絡が日本時間の未明であり、翌朝に確認したため間に合わず、とても残念に思います。
ジュディは、教員になりたかったけれど、教育委員会から教員免許を与えることを阻止されました。彼女は裁判に訴えて勝利し、車いすに乗った、州で最初の教師となりました。このエピソードからも、彼女の権利意識の高さがわかります。日本ではこの点が少し弱いですが、交通アクセスや介助派遣など、障害者が地域で生活をできるように活動していくことを、自立生活センターの役割として訴えてきました。日本には施設入所者がまだ多いので、これらを解消するためのサポートをきちんとやっていくように、ということで、若い障害者の自立促進に努めるようにジュディには言われました。
ジュディも、マックスもコリーンも、私がILを引き継いでくれたという気持ちが強かったようで、何かあればいつも連絡をくれて、相談をし合っていました。
ジュディ、ありがとう。


インクルーシブを体現した愛深き人ジュディを偲んで

JIL副代表 今村登


2013年に盛上さんの紹介で佐藤くんがヨシコ・ダート(YD)さんに会いに渡米し、ADAの父と称されるジャスティン・ダートさんのことや、アメリカの障害者運動のことについてじっくり話を聞いて来た。YDの話に魅了された佐藤くんは、翌年に仲間を連れて再度訪米するのでその際に色んなリーダーを紹介してもらうことを約束し、帰国後平下くんと私に声をかけてくれた。

しかしその直後にDPIの事務局長に就任することになった佐藤くんは、どうしても仕事の関係で日程が取れず、2014年は平下くんと私、そして若手の近藤くんで渡米し、盛上さんとYDにご紹介いただいたリーダー達に面会した。
この時のミッションは、色んなリーダー達に会い、日米の障害当事者同士の繋がりを強化(再構築)すること。そして、翌年(2015年)にワシントンDCで行われるADA25に日本からも参加させてもらう許可と協力を得ることだった。
最初シカゴでマーカに面会したことを皮切りに短期間で複数のリーダーたちに会い、最後はDCでジュディに会った。
すでに多くのリーダー達に会い、「よく来てくれた」と歓迎され続け、ジュディに至ってはご自宅に招待され「えっ、あのジュディ・ヒューマンの自宅に行けちゃうの?」っていい気になっていたが、その時私達はジュディに叱られた。
「あなた達、なんで男ばかりなの?来年は女性もいなきゃダメよ!」
お恥ずかしいながら、それまで「ジェンダーバランス」という視点が抜けていたことにハッとさせられた。
こうして、ADA25は多くの若手の女性リーダー達に声をかけることになり、介助者を含み総勢約60名もの大所帯で真夏のワシントンDCに向かったのだった。
その時参加してくれた若手の人達が主となりADA27を企画実行し、グローバルILサミットも盛り上がりWorld Independent Living Center Network(WIN)が発足した。
ADA25、27に参加した若手リーダー達が今、男女共に全国各地で運動の主軸を担っている。
特に女性陣の躍動は素晴らしい。
あの時ジュディに叱られていなければ、未だ日本のIL運動はジェンダーバランスという視点、意識が欠け続けていたかもしれない。
ユダヤ人で、祖父母はホロコーストに遭い、自身は障害故に入学を拒否され、教員になることを拒否され、社会からのあらゆる拒否、排除にあっても、常に仲間と共に立ち向かい道を切り開き続けてきたジュディ。
「障害者運動・ADAの母」とも称されるジュディは、アメリカの公民権運動、女性解放運動を参考に障害者運動を牽引してきたという。
さらに世界各国に足を運び様々な差別を目の当たりにしてきた彼女の視点は、障害種別やジェンダーだけでなく、国や人種、言語、宗教、年齢、職業あるいは地位などの違いをもろともせず、誰とでも分け隔てなく、常に気さくで優しさと厳しさを持った愛情深いものだった。
WINが発足した2017年のグローバルILサミットの会場に私は居られなかった。
前年の2016年に起きた相模原障害者殺傷事件から1年後の追悼集会を担当していたため、遅れて渡米したからだ。
DCでジュディに再会した時、「あなたどうしてたのよ?姿見ないから心配して、ずっと探していたわよ!」と駆け寄ってきてくれて、理由を話すと
ギュッとハグしてくれたことを昨日のように思い出す。
彼女のことだから、今頃はJDやマーカ等、多くのリーダー達との再会を楽しんでいるだろう。
私もやがてその輪に胸を張って加われるよう(胸張れなくてもジュディのことだから排除しないだろうけど)、残りの人生、しっかり生きていこう。
「明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びなさい」ってことだな。
ジュディに出会えたことと功績に心から感謝し、ご冥福をお祈りいたします。

滝山病院の看護師による患者暴行事件に関しての
抗議及び要望

医療法人社団孝山会 滝山病院
管理者 朝倉重延 殿

全国自立生活センター協議会
東京都八王子市明神町4-11-11シルクヒルズ大塚1F
代表 平下耕三
精神障害プロジェクト一同

滝山病院の看護師による患者暴行事件に関しての抗議及び要望

 私たちは全国120か所にある、障害者の権利擁護と地域での自立生活を実現する「自立生活センター」の集まりです。私たちは障害の種別を問わず、人として尊厳をもって地域で自立生活することをサポートし、また地域社会の変革に取り組んでいます。

 2023年2月15日のマスコミ報道で、昨年4月に滝山病院の看護師が患者に暴行をはたらいた容疑で警察に逮捕される事件が発覚しました。警視庁はさらに3人が暴行をはたらいた容疑で捜査をしていると報道されています。この様子は監視カメラに「しゃべるな、黙ってろ」と頭を叩く場面が収められており、はっきりと暴行の場面が映されています。

 患者を支援する代理人弁護士の2月17日の記者会見によると、「患者約10人から、虐待を受けたとか退院したいとの相談があった」「院内で記録された映像や音声などを分析したところ少なくとも10人以上の職員が暴行や暴言などの虐待行為を行った可能性がある」「被害にあった患者は少なくとも20名になる」と指摘されています。音声データには「もっと本気で行くぞ。腕の骨折るぞ」などの録音もされ、面会時に弁護士に泣きながら「連れて帰ってほしい」と訴えた患者もいたと言います。さらには東京都の昨年の6月の実地調査により「国から求められている看護師らを対象にした虐待や人権に関する研修を、十分に行っていない」と口頭指導を受けています。また違法な身体拘束の疑いがあると報道され、このような状況から暴行・暴言は昨年の1月から4月にかけてだけ行われたとは考えにくく、日常的に暴力行為が蔓延し、それを管理者が見過ごしていた可能性が深く懸念されます。症状や強制入院で自由に退院することができない患者に対し、日常的に暴言・暴力・安易な身体拘束を行うことは、医療従事者としてあり得ない非人道的な行為であり、人間の尊厳を奪う決して許せない行動です。私たちは障害当事者として激しい怒りと憤り、深い悲しみを抑えることができません。

 そして更に、2月25日にNHKで放送されたETV特集「ルポ 死亡退院 ~精神医療・闇の実態~」で明るみにされた内容はあまりにも衝撃的でした。

 昨年の10月には国連障害者権利委員会から総括所見が出されており、その中で精神科病院での身体拘束、強制入院、虐待などの人権侵害行為は直ちに是正することが求められています。私たちは、一昨年神戸市において発覚した神出病院の虐待事件が大きく問題視された中、自らの病院内の虐待を見過ごし、人権侵害を放置した管理者と病院の責任を追求するとともに、患者の人権を軽視した病院運営と現場の人権意識の乏しさに厳重に抗議し直ちに対策を講じるとともに、放送されたような実態が真実であれば、滝山病院の解体と廃業を強く求めます。

<直ちに行うこと>

  1. 警察や行政への全面的な協力、情報提供と第3者機関による徹底した調査や患者一人一人への聞き取りを行い、虐待の全容を隠すことなく明らかにし、市民に報告すること
  2. 病院管理者、経営者は東京都の口頭指導を受けていたにも関わらず放置し、このような事件を起こした責任をとること
  3. 虐待を受けた患者のみならず、すべての患者に精神的なケアを行い、退院・転院希望の調査、希望者に対する退院・転院を滞りなく進めること
  4. 内部通報者が不当な取り扱い、不利益を被ることのないよう対策を講じ、その対策を公表すること
  5. 現場の医師・看護師のみならず病院管理者、経営者を含めたすべての人に、人権教育を直ちに行い、2度とこのような事件の起こらないよう、現場の改革をすること
  6. 病院関係者への人権教育にあたっては、長年障害者の権利擁護を行っている当団体の人権委員会が開催する「障害者虐待ワークショップ」など当事者視点での人権研修を取り入れ改革を進めること

通常であれば医師、看護師等職員の人権教育を徹底した上、病院運営を改革して新しい体制を作ることを要望するところであるが、2023年2月26日にNHKで放送された内容を踏まえると、暴力・虐待事件、病院運営体制、方針が社会的に許される事柄ではないことから、滝山病院は警察、行政、第3による調査委員会に全ての記録と真実を述べ、実態を明らかにした上で、全ての責任をとり滝山病院は病院を解体し、廃業すること。

<解体・廃業を求める理由>

  1. 多数の職員が人権を無視した暴言、暴力を日常的に行なっていたこと
  2. 弁護士との面会は患者の権利であるが、実際患者が患者が面会をすると、後から暴言・暴力を加えること
  3. 看護師長、ベテランの看護師は本来新人看護師に対し、正しい記録の書き方、人権を守り看護の大切さを教えるところ、自分達の病院側の都合の良いやり方で人権を無視したやり方をそのまま教育していること
  4. カルテに虚偽の書き込みをしていたこと
  5. 録音された音声によれば看護師長院長も暴行やカルテの虚偽の記録を承知していたこと
  6. 死亡退院が全体の78%という異常な数字であること
  7. 根本的な糖尿病などの身体的疾患が悪化していても治療をせず、時には床ずれを深部組織が見えるほど放置し悪化させ、生命だけを長引かせるだけの対処をしていること
  8. 医療保護入院時、医師が威圧的な診察をした上で、患者に虚偽の出来事を作り出し、行政に対しても虚偽の報告をしたこと。また家族に対しても虚偽の報告をしたこと
  9. 医院長は旧朝倉病院で大量の死者を出し、保険医の取り消しを受けたにもかかわらず、今回また病院運営者として復帰し、虐待、虚偽の報告、人権無視など前回同様の虐待行為をしていること

2023年3月1日

 

滝山病院の看護師による患者暴行事件に関しての抗議及び要望

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インクルーシブ社会はインクルーシブ教育から
~JILインクルーシブ教育プロジェクトの考える総括所見の意味~

2023年1月27日

インクルーシブ社会はインクルーシブ教育から
~JILインクルーシブ教育プロジェクトの考える総括所見の意味~

JILインクルーシブ教育プロジェクト 一同

 私たちは、どんな重度な障害があっても地域で当たり前に生活し、障害者権利条約の完全実施に向けて障害のある人とない人が分け隔てられることなく、誰もが差別されず、共に生きられる社会(インクルーシブな社会)を目指して活動する障害当事者団体です。全国110か所を超える障害当事者団体(自立生活センター)で構成しています。
 インクルーシブな社会を実現するために、教育分野からでは、障害者権利条約第24条「教育」および一般的意見4号(インクルーシブ教育を受ける権利に関する一般的意見)に書かれているインクルーシブ教育の実現を目指し全国で活動しています。

 2022年8月、国連(スイス・ジュネーブ)で障害者権利条約に関する日本の建設的対話が開かれ、9月9日に権利委員会から日本政府へ総括所見が出されました。教育の分野からは、「障害児を分離した特別支援教育をやめる」よう強い勧告が出て、報道にも流れました。そういった報道を受け、「障害児を通常の学級で学ばせるのはかわいそう」「一緒に学ぶのは迷惑だ」などの批判や、現在特別支援学校に通う障害当事者や、保護者の方からは「特別支援教育を受けられなくなるのではないか」などの不安の声が相次ぎました。
 日本は、2014年に障害者権利条約を批准し、障害児者に関する様々な法制度が整備され、インクルーシブ教育の実現を目指しています。しかし実際の教育現場では、支援を必要としている子どもの場合は、特別支援学校や特別支援学級などの別の場で、その子どもにあった教育を受ける、というような教育システムになっています。これはいわゆる日本型インクルーシブ教育システムと言われています。「通常の学級では、一人ひとりにあわせた必要なサポートを受けづらいため、特別支援学級や特別支援学校がなくなっては困る」という考え方から、上記のような批判や不安の声が溢れたのではないかと考えられます。
 しかし今回の障害者権利条約の勧告は、特別支援教育を廃止することを求めているわけではなく、障害の有無で学ぶ場を分けることに対して危惧しているのです。そこで本会が目指すインクルーシブ教育について、改めて社会に伝えたいと思います。

1.インクルーシブ教育は、通常の学級の在り方を変えていくプロセスである
 現在の日本の教育は、多様な子どもたちがいることが前提となっているでしょうか?「多様な子ども」というのは、障害のある子どもだけではなく、性的マイノリティや貧困家庭にいる子ども、外国にルーツのある子どもなど様々な背景をもつ子どもをさします。インクルーシブ教育は、「多様な子どもたちがいることを前提とし、その多様な子どもたち(排除されやすい子どもたちを含む)の教育を受ける権利を地域の学校で保障するために、教育システムそのものを改革していくプロセスである」※1と言われています。つまり、通常の学級で、一人ひとりにあった支援が受けられるように変えていくことが求められているのです。
 通常の学級の在り方を変えていく方法としてまず考えられることは、1クラスあたりの人数を減らすことです。
それにより教員の仕事の分散化や複数担任制などが可能になるなど、教員の負担軽減につながり教員の離職率を下げることができるのではないでしょうか。
 インクルーシブ教育を進めていくことで、学校で学ぶ子どもも、学校で働く教職員も、すべての人にとって過ごしやすい学校になると考えます。
 
2.インクルーシブ教育はインクルーシブ社会につながる
 今の日本は教育課程から分離されているため、多様な人たちがともに生活しているということを気づかないまま大人になっていると思われます。そのため、いつの間にか「多数派」と呼ばれる人たちに合わせた社会になってしまっているのです。「当たり前」からはみ出てしまった人(少数派)に対する差別が生まれてしまう構造ができあがっているのではないでしょうか。障害や病気がないいわゆる健常者と呼ばれている人の中には、「多数派」になろうと無理に努力をして生きづらさを感じている人たちもいるでしょう。
 サポートが必要な人は障害者だけではありません。学校教育を受けるときから、一人ひとりが必要なサポートを受けながら学ぶことのできる環境が当たり前になっていれば、誰にでも必ずある「ちがい」が認められ、ちがいがマイナスにならない社会がつくられていくのではないでしょうか。インクルーシブ教育は、誰も仲間外れにされないインクルーシブ社会につながっていくと私たちは考えます。

3.インクルーシブ教育について一緒に考え続けること
 上記2点から、インクルーシブ教育は、障害者だけにかかわらずすべての人にとって、生きやすくなる社会につながると考えられます。だからこそ、私たちは、インクルーシブ教育の大切さや必要性について一緒に声を上げてくれる仲間を増やしていきたいのです。今、分離された社会で生きている人や現在の社会で生きづらさを感じている人たちとともに社会を変えるためにつながって考え続けていきたいです。

注釈について
※1野口晃菜・喜多一馬編著(2022).
『差別のない社会をつくるインクルーシブ教育 誰のことばにも同じだけ価値がある』.学事出版 より引用。
(以上)

 

インクルーシブ社会はインクルーシブ教育から
~JILインクルーシブ教育プロジェクトの考える総括所見の意味~

 

北海道江差町の社会福祉法人あすなろ会における「不妊処置」問題から見る、障害者の性と生殖に関する健康と権利についての声明

※声明文にやさしいバージョンを追加しました。 12月28日

2022年12月21日

北海道江差町の社会福祉法人あすなろ会における「不妊処置」問題から見る、
障害者の性と生殖に関する健康と権利についての声明

全国自立生活センター協議会
代表 平下 耕三

 私たちは、どんな重度な障害があっても地域で当たり前に生活し、障害者権利条約の完全実施に向けて障害のある人とない人が分け隔てられることなく、誰もが差別されず、共に生きられる社会(インクルーシブな社会)を目指して活動する障害当事者団体です。全国110か所を超える障害当事者団体(自立生活センター)で構成しています。
 2022年12月18日、北海道江差町の社会福祉法人「あすなろ福祉会」が運営するグループホームで、知的障害があるカップルらが結婚や同棲を希望する場合、男性はパイプカット手術、女性は避妊リングを装着する不妊処置を20年以上前から条件化し、8組16人が応じていたことが報道されました。この問題を受けて、松野博一官房長官は12月19日の記者会見で「仮に利用者が結婚などを希望する場合、本人の意に反して、不妊手術や受胎調節などを条件とすることがあれば、不適切だ」と指摘しています。また厚生労働省が道庁に事実関係の確認を求めているとし、今後詳細が明らかになるでしょう。
 日本は、日本国憲法や障害者権利条約(2014年批准)にのっとり、障害児者にかかわる様々な法制度が整備されつつあります。今回問題になっているグループホームは、「障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活または社会生活を営む」ことを目的とした障害者総合支援法に定められ展開されている福祉サービスの一つです。障害者が他の者と平等に個人として尊重され自分らしい生活を送るために整備されている福祉制度の中で、障害者の人権を踏みにじる事件が起きたことは、障害当事者として怒りに震えるとともに、私たちの当たり前の権利が脅かされるのではないかという恐怖を感じます。
 また、旧優生保護法下において強制不妊手術を受けさせられた被害者による訴訟が全国各地で行われている中で、いまだに「不妊処置」が行われていた事実に落胆し、憤りを覚えます。

今回の事案に対して、本会として障害当事者の立場から、以下4点について問題提起いたします。
1.誰もが子どもをもつ/もたない権利があり、それを選択する権利があること
 私たちには「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)」があります。国際的には基本的人権のひとつと考えられていますが、日本ではまだ浸透していない権利かもしれません。日本国憲法で説明すると、11条「基本的人権」、13条「幸福追求権」、14条「平等権」、25条「生存権」にも示されていることです。障害者にとっては、「障害があるから」「障害者だから」という理由で、障害のない人と比べるとより蔑ろにされやすい権利です。そのため、障害者権利条約23条「家庭及び家族の尊重」には性と生殖の権利について、以下のように詳しく述べられています。
 (a)婚姻をすることができる年齢の全ての障害者が、両当事者の自由かつ完全な合意に基づいて婚姻をし、かつ、家族を形成する権利を認められること。
 (b)障害者が子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する権利を認められ、また、障害者が生殖及び家族計画について年齢に適した情報及び教育を享受する権利を認められること。さらに、障害者がこれらの権利を行使することを可能とするために必要な手段を提供されること。
 (c)障害者(児童を含む。)が、他の者との平等を基礎として生殖能力を保持すること。
誰もがパートナーをもつ/もたない、子どもをもつ/もたない権利があり、それを選択する権利があることを改めて伝えたいです。

2.包括的性教育を含む十分な情報提供と意思決定支援が必要であること
 日本は、政治介入があるほど性教育をタブー視し、学校教育の場で積極的に行ってこなかった歴史があります。障害特性からゆっくりと丁寧に学ぶ必要があるにも関わらず、十分な性教育が行われてきませんでした。上記1で述べた「権利がある」ということも教えられなかった人も多いでしょう。「不妊処置」がどういった意味を指すのか学ぶ機会はあったのでしょうか。自分の当たり前の権利を自覚しながら「子どもをもつ/もたない」ことを選択できるのでしょうか。
 権利の主体となるために、包括的性教育を含む十分な情報提供と、一人では意思決定が難しい方へは支援者のサポートが必要です。「説明し、合意を得た」と言い切ってしまうことには危険をはらんでいることを認識すべきでしょう。一人の人生を潰してしまうような取り返しのつかないことになってからでは遅いのです。

3.誰もが必要なサポートを得られる社会であること
 子育ては、親のみで完結するべきことなのでしょうか。子育てだけでなく、人は様々な場面で様々なサポートを得ながら生活をしています。実際に、様々な制度、社会資源を活用しながら、子どもを産み、育てている障害者カップルも全国各地にいます。それを支える支援者もたくさんいます。そういった実例を参考にするとともに、国の責務として足りていない仕組みに関しては補完していく必要があるでしょう。
 障害の有無にかかわらず、誰もが必要なサポートが得られる社会は、誰もが自分らしく生きられる社会です。

4.誰もが優生思想を持っていることを自覚し、内なる優生思想と闘い続けること
 「性について理解できないだろう」「責任をもって子どもを育てられないのではないか」「障害が遺伝したら子どもがかわいそう」などの声が世間では溢れています。中には「自分は優生思想はないけれど」と前置きしながら、上記の発言をする人もいるでしょう。しかし私たち一人ひとりに内なる優生思想があるのだと自覚しなければなりません。優生思想は、障害者の権利を侵害する行為につながるのです。「障害者はいないほうがいい」「生産性がない」という優生思想は、障害者にかかわらずすべての人の生き方を一定の物差しで測り、その行動に価値があるか/ないかで判断してしまうような社会につながりかねないのです。
多様な人たちがともに生きている社会は、社会の土台を強くします。差別とは何か、障害とは何か、私たち一人ひとりが向き合い、内なる優生思想と闘い続けることが必要です。社会の一員である私たち一人ひとりが、他人事ではなく自分事として受け止め考え続けることが求められます。

 当会は障害当事者団体として、優生思想に抗うすべての声を大切にし、誰もが等しく人権を尊重される社会に向けて声を上げ、連帯していきます。
(以上)

北海道江差町の社会福祉法人あすなろ会における「不妊処置」問題から見る、障害者の性と生殖に関する健康と権利についての声明

(やさしい)北海道江差町の社会福祉法人あすなろ会における「不妊処置」問題から見る、障害者の性と生殖に関する健康と権利についての声明

障害者関連法案の審議について

2022年10月12日

厚生労働大臣 加藤勝信様

障害者関連法案の審議について

全国自立生活センター協議会
代表 平下耕三

 

私たちは、どんな重度な障害があっても地域で当たり前に生活し、障害のない人と同じ権利を持ち、障害者権利条約の完全実施に向けて障害のある人とない人が分け隔てられることなく、誰もが差別されず、共に生きられる社会(インクルーシブな社会)を目指して活動する障害当事者団体です。全国110ヶ所を超える障害当事者団体(自立生活センター)で構成しています。

私たちは、JILのビジョン(目指すもの)として「私たちは、障害者権利条約の完全実施に向けて障害のある人とない人が分け隔てられることなく、誰もが差別されず、共に生きられる社会を目指します。」を掲げ、条約に則した障害者関連法の見直しを働きかけ取り組んでいます。8月23日、24日にジュネーブで行われた障害者権利委員と日本政府による建設的対話に日本から約100名、そのうち自立生活センターからは8団体、30名の障害当事者、関係者が駆け付け、傍聴やロビー活動で実情を伝え、対話を見守りました。その結果を受け、9月9日には、総括所見や脱施設ガイドライン、一般的意見第8号などが公表されています。

この総括所見には、1条から4条までの目的や理念、脱施設、インクルーシブ教育などで様々な課題について重要な指摘をされています。今後は、この総括所見に沿った法改正が必要だと考えます。しかしながら今秋の臨時国会において、4つの障害者関連法の改正法案が4法案一括で審議されると聞いています。

私たちは、総括所見で示された内容を踏まえて、吟味し、各法律で取り組めるよう丁寧に審議を深めてもらいたいと考えています。今回のような一括審議のような形ではなく、それぞれの法律において十分な審議時間が確保できるよう、特段の配慮をお願いします。とりわけ精神保健福祉法の改正については、より一層丁寧な議論をお願いします。また、障害者総合支援法において、総括初見・パラグラフ42[1]の(d)を踏まえ、当会を含め、多様な障害者団体の参画のもと地域移行に向けた検討会を早急に立ち上げることを併せて求めます。

[1] ■障害者権利委員会による総括所見(パラグラフ42(d)のみ抜粋)
42.自立した生活と地域社会への包摂に関する一般的意見第5号(2017年)および脱施設化ガイドライン(2022年)を参照し、委員会は締約国に要請する。
(d)障害者団体と協議の上、障害者の自律と完全な社会的包摂の権利の承認を含め、障害者が施設から他の人と平等に地域社会で自立した生活に効果的に移行することを目指す、期限付きのベンチマーク、人材、技術、資金を伴う法的枠組みおよび国家戦略、ならびにその実施を確保するための都道府県の義務付けを開始すること。

 

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