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仙台地裁での強制不妊手術判決に関する抗議声明

旧優生保護法を問う裁判、不当判決に対する抗議声明

全国自立生活センター協議会
代表  平下 耕三
人権委員会
委員長  白杉 眞

 私たちは、どんな重度な障害があっても地域で当たり前に生活する社会の構築を目指し活動する団体です。全国120ヶ所を越える自立生活センターで構成されています。
2018年1月、宮城県の女性2人が10代のとき、強制的に不妊手術をされたとして、国を相手にとって裁判をおこしました。旧優生保護法をめぐっての全国初の国家賠償請求訴訟でした。長く痛みを背負ってきた人たちが、ようやく声を上げられる時代がきたのです。
ところが、2019年5月28日の仙台地方裁判所(中島基至裁判長)でこの請求が棄却されました。これはあきらかに不当であり、全国自立生活センター協議会として声明を表明します。
仙台地裁は、旧優生保護法が「子どもを産み育てる意思を持っている人の幸福の可能性を一方的に奪い去り、個人の尊厳を踏みにじるものである」として、「違憲」であると判断しました。一方で、国会が救済措置をとることが必要であったとは言えず、また、手術から20年以上が経過しているため、損害賠償請求権は民法の規定上、消滅しているとして、原告たちの訴えを棄却しました。
これは不当判決です。除斥期間が理由にされていますが、あまりにも実態にそぐわない、被害者のおかれた状況を無視した判断だと言わざるをえません。旧優生保護法が廃止になった時点で、手術からすでに時間が経ち過ぎていました。また、被害者にとって法律に差別が書き込まれるほどの厳しい状況の中で声を上げることなど、到底できないことでした。国は、そのことを当然、考慮して除斥期間を無効にする手立てをとるべきだったのです。
今回、裁判所が違憲であると認めたにも関わらず、損害賠償を棄却する決定をしたのは、一時金支給法で納得しろという意味でしょうか。一時金支給法は、補償金額があまりにも低いこと、謝罪する主体が明示されなかったことなど、様々な課題を残した内容であり、この問題の解決策としてはあり得ません。
私たち全国自立生活センター協議会は、全国の仲間とともに今回の不当判決を受けた2人の控訴審において、さらなる支援を続けていきます。また、全国で争われている同様の裁判へも傍聴を始めとする様々な支援を行います。
私たちは、このような障害のある人の人権を無視した法制化を決して許さず、過去については謝罪を求め、今後、二度と作らせないことを決意します。