障害者関連法案の審議について

2022年10月12日

厚生労働大臣 加藤勝信様

障害者関連法案の審議について

全国自立生活センター協議会
代表 平下耕三

 

私たちは、どんな重度な障害があっても地域で当たり前に生活し、障害のない人と同じ権利を持ち、障害者権利条約の完全実施に向けて障害のある人とない人が分け隔てられることなく、誰もが差別されず、共に生きられる社会(インクルーシブな社会)を目指して活動する障害当事者団体です。全国110ヶ所を超える障害当事者団体(自立生活センター)で構成しています。

私たちは、JILのビジョン(目指すもの)として「私たちは、障害者権利条約の完全実施に向けて障害のある人とない人が分け隔てられることなく、誰もが差別されず、共に生きられる社会を目指します。」を掲げ、条約に則した障害者関連法の見直しを働きかけ取り組んでいます。8月23日、24日にジュネーブで行われた障害者権利委員と日本政府による建設的対話に日本から約100名、そのうち自立生活センターからは8団体、30名の障害当事者、関係者が駆け付け、傍聴やロビー活動で実情を伝え、対話を見守りました。その結果を受け、9月9日には、総括所見や脱施設ガイドライン、一般的意見第8号などが公表されています。

この総括所見には、1条から4条までの目的や理念、脱施設、インクルーシブ教育などで様々な課題について重要な指摘をされています。今後は、この総括所見に沿った法改正が必要だと考えます。しかしながら今秋の臨時国会において、4つの障害者関連法の改正法案が4法案一括で審議されると聞いています。

私たちは、総括所見で示された内容を踏まえて、吟味し、各法律で取り組めるよう丁寧に審議を深めてもらいたいと考えています。今回のような一括審議のような形ではなく、それぞれの法律において十分な審議時間が確保できるよう、特段の配慮をお願いします。とりわけ精神保健福祉法の改正については、より一層丁寧な議論をお願いします。また、障害者総合支援法において、総括初見・パラグラフ42[1]の(d)を踏まえ、当会を含め、多様な障害者団体の参画のもと地域移行に向けた検討会を早急に立ち上げることを併せて求めます。

[1] ■障害者権利委員会による総括所見(パラグラフ42(d)のみ抜粋)
42.自立した生活と地域社会への包摂に関する一般的意見第5号(2017年)および脱施設化ガイドライン(2022年)を参照し、委員会は締約国に要請する。
(d)障害者団体と協議の上、障害者の自律と完全な社会的包摂の権利の承認を含め、障害者が施設から他の人と平等に地域社会で自立した生活に効果的に移行することを目指す、期限付きのベンチマーク、人材、技術、資金を伴う法的枠組みおよび国家戦略、ならびにその実施を確保するための都道府県の義務付けを開始すること。

 

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