2.サービス別まとめ

(1)相談・情報提供事業 −障害者自立支援法下でも利用がのびつづける見込み

総相談件数は44,576件で、1センターあたりの相談件数は昨年度に比べ1割以上増加している。相談内容は、介助者との関係づくりや住宅改造についてなど、具体的な自立生活のノウハウに関するものだけではなく、制度に関する相談がよせられた。2004年度は介護保険制度との統合や障害者自立支援法案をめぐり、先行きのみえない不安を抱えての相談や問い合わせが多くなっている。
 障害者自立支援法下では相談支援事業や生活サポートも入ってくるので、今後も利用がのびつづけるものと思われる。

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(2)介助派遣サービス −知的の利用急増

 支援費制度発足2年目を迎え、全体としてサービス提供団体数、介助派遣時間数、利用者人数、すべてにおいて増加している。知的障害者の利用者人数の増加に対して、派遣時間数が減少している。
 派遣時間数を障害種別にみていくと、知的をのぞく全ての派遣時間数がのびている。とくに精神障害者は昨年度比1.4倍、身体障害者は1.3倍となっている。

・介助サービス派遣時間数(障害種別)

           単位:(時間)
空欄 身体 視覚 知的 精神 その他
2004年度 2,920,810 34,859 161,559 7,834 44,179
2003年度 2,172,229 32,212 328,511 5,542 18,203
2002年度 1,215,685 8,967 74,339 2,158 16,767
2001年度 1,055,790 2,433 46,032 1,541 21,679


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 利用者人数は全体でみると昨年度比3.5倍(+11,357人)と大きくのび、身体障害者で4倍(+9,457人)、知的障害者で2.6倍(+1,609人)となっている。
 親元にいる知的障害者の場合、親のレスパイトとして土日の午後に2時間など特定の時間帯に短時間の派遣希望が集中しがちで派遣可能な介助者数に限界があるため、利用者数がふえても派遣時間数がのびない面がある。
 利用者数に比例してコーディネートの仕事量が急増し、職員の負担が大きくなっていることが容易に想像される。介助派遣の対象が身体だけではなく知的・精神へと拡大・転換が始まっていて、体制の整っていないセンターのひずみがJILの所長セミナーでも報告されている。今後、介助派遣は知的・精神を含めて事業所の職員体制とバランスをとる調整が必要となってきている。


・利用者数(障害種別) 単位:人
空欄 身体障害 視覚障害 知的障害 精神障害 その他 合計
2004年度 12,595 335 2,613 57 353 15,953
2003年度 3,138 200 1,004 60 194 4,596
2002年度 2,915 103 809 33 100 3,960


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(3)自立生活センター特色のサービス −9割のセンターで24時間緊急対応

 自立生活センターが他の事業所と大きく異なる点として、利用者自らが自分の気に入った人を選び派遣する『自薦ヘルパー方式』、夜間や急な介助依頼などに24時間携帯電話などで対応し介助者を派遣する『緊急対応』、医療従事者が行う行為としてグレーゾーンとされている『医療的行為』(褥瘡の処置や気管切開者のたんの吸引、摘便など)など、自立生活をおくるためのニーズに対応していることがあげられる。
 『自薦ヘルパー方式』を導入している団体は73.4%を占めている。『緊急対応』については約90%の割合で実施されている。『医療的行為』についても、半数を超える団体が実施している。筋ジストロフィーなどの24時間介助を必要とする重度障害者の利用者が多いセンターでは日常的な介助として行われ、介助者に対する医療的行為の研修会が随時行われている。
 自立支援法では、これらのCILの特色である緊急対応など地域支援に対する財政的補助が出ていない。必要な支援が保障される財政的な根拠をつくっていく必要がある。

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