『当事者エンパワメントシンポジウム」

「がんばらないで!いまの自分が、満点」

高橋 年男
(沖縄県精神障害者福祉会連合会事務局長)


1.はじめに
2.日本、沖縄の精神医療の現状
3.精神障害者福祉の財源


1.はじめに
 どうもみなさん、ほとんどの皆さんがはじめましてなので、はじめまして。よろしくお願いします、高橋といいます。今日受付でこんな大きい封筒とちっちゃい封筒があったと思うのですが、大きい封筒の中に、こういう1枚の、草緑色の案内が入っていると思います。沖縄県の精神障害者福祉会連合会といいまして、父母の家族会、そこの連合会の事務局におります高橋といいます。今日は本当に札幌の佐藤さん、たくさんのみなさんと沖縄に来てくださって、勇気を与えてくださるお話を聞かせてくださいました。本当に有り難うございます。今日こういう場に、私ども精神障害者の家族会、沖福連がよばれたこと、それだけでも本当に自立生活センターの活動からたくさんのことを学ばせていただくいい機会を与えていただき、また北海道のお話しもベンチレーターのお話しも聞かせていただき、本当にありがとうございます。なかなか精神の領域の状況というのが伝わってないかなと感じていますので、そこのところ数字とかを少し紹介しながら、あと想いのところは後半のディスカッションの方でお伝えしながらと思います。

 分厚い資料の方の17ページから6ページぐらいにわたって、少し読み上げながら紹介をさせてください。まず「がんばらないで!いまの自分が、満点」だよというところから、本当に一生懸命がんばってがんばって病気を得たという方がたくさんいらっしゃいます。いまが本当に精一杯の自分自身であるという事、それを社会全体がわかって欲しい、わかる社会であって欲しいということが想いとしてあるものですから、こういうタイトルにさせていただきました。そして本当にこの社会の中で、当事者が担い手になっていくような社会の有り様、社会資源の開発ということを自立生活センターに学びながらですね、やれていけたら本当に嬉しいかなと思っています。

2.日本、沖縄の精神医療の現状
 まず日本の精神医療ということですが、17ページの表にありますように、少し古い資料ですけども、ほとんど基本的には変わっていません。これが7年間の障害者プランを立てた時のデータですけども、その当時とほとんど変わらない今の日本の現状があります。数字で比べていただければわかると思いますが、日本が一番上に示してありますけれども、特に平均在日数330日というのは、世界中の平均から比べてもですね、10倍以上の長期にわたる入院を余儀なくされていることで見てください。
それから18ページです。これは日本の医療費全般と、その中に占める精神科の医療と福祉ということで表にしました。見ていただきたいのは精神医療費というところと、それから4番目にあります入院医療費、これはほとんど同じ数です。精神科の医療費のほとんど、8割9割近くが入院医療費ということで使われています。それとこの表の中の一番下で見ていただきたいのが、3パーセントと書いてあるのがわかるかと思いますが、医療費に比べて福祉的な予算は3パーセントというのが、これが今の日本の現状です。

 続いて19ページに沖縄県のデータがあります。沖縄県のデータのですね、真ん中あたりに精神保険福祉予算の総額58億円というように出ていますが、それと比べて下の方の二つの欄、2700万円の社会参加推進対策費と、社会復帰福祉対策ということで、11億ですか。比べていただければ医療費が圧倒的な比重を占めているということがわかると思います。なぜこんなにお金の事にこだわるかというと、お金の使われ方、どれだけ現場の声が届いているのか、当事者の声がどれだけ反映されているのか、お金の使われ方がですね非常に施設に偏っていたり、医療に偏っていたりということは、やはり当事者の声がこれだけ社会的には反映されていないことの現れだと思います。私たちが本当に地域に出ていって生活をするためには、お金も人もですね、地域に厚くしていくということを真剣に考えていかなきゃいけない。こういう事を本当に数字として示す事でですね、なんとかしようって言う自分たちの気持ちを奮い立たせていかなきゃならない。そのために今日の佐藤さんの1000万かけて世界中歩いたよという話ですとか、今度沖縄に来るのに100万近くかかったよということを、やっぱり生きてくためには何が必要なのか、支えとお金ということはおろそかにできないということを感じましたので、数字のところで3ページほど書かせていただきました。

3.精神障害者福祉の財源
 少し紹介をさせていただいた上で、今日は中西さんの方からも地域の福祉財源はどこにあるんだというお話を少しテーマにして欲しいというリクエストがあったものですから、20ページはそこのところを少し、精神の福祉予算のことについて紹介させていただきます。20ページからちょっと読み上げていきたいと思います。3の入院医療費と地域生活支援に見るコストパフォーマンスということで、費用対効果ということです。8年前になりますが1995年4月に、宮古の伊良部町で小規模作業所が開所しました。そして1昨年2001年に、与那城町で作業所が開所しました。現在精神の作業所、沖縄30ヶ所ぐらいあります。その内こういうデータを追っかけた所は2ヶ所しかないのですが、医療コストと地域ケアということで調査された報告が上がってきています。

 これらの報告によると共通して作業所ができたことで、国保に加入している作業所利用者、この医療費が大幅に減額になっているということがわかります。伊良部町の場合は、作業所利用者の再発ですとか入院の回数がすごく減って、そのことによって医療費が圧縮されてきています。与那城町の場合は、病院のデイケアとかナイトケアに通っていた方が作業所を利用する事によって、同じように町の負担が本当に500万ぐらいの単位で圧縮されているというデータが出ています。入院生活と地域生活ということを比べてみると、やはりどれだけ社会福祉の費用が厚く見えても、実は入院の費用に比べれば圧倒的に地域でくらしたほうが社会的コスト、行政の負担というのが減るというのが数字として出ています。

 今日はまだ本になっていないのでお配りする事ができなかったのですが、実は与那城のデータでですね、ちょっと後ろの方は見えないかもしれないですけど、この下の表で棒グラフが3本並んでいます。半額ぐらいになっているのが見えると思います。改めてまた何かの機会にこれを発表できると思いますので、その時はまたお問い合わせ下さい。こうしてみるとやっぱり沖縄の精神か病院の多さですとか、病院が行っている訪問介護、それから通院医療費の負担ということが、全国的に見ても非常に高い沖縄というのが見て取れますので、こういうところについて地域で色々な形で社会資源を作ってきた当事者のみなさんの活動ですとか、地域生活支援センターが地域に存在しているということを生かしながら、沖縄の自立生活を進めていくための糧にしていきたいと思います。時間になりました。終わります。