P1表紙 障害者制度改革と障害者総合福祉法の展望 障害者総合福祉法全国キャラバン資料 ※条約訳文については、川島聡・長瀬修仮訳(2007年3月29日付訳)」を使用させて頂きました。 P2 時代背景・新法提言への経緯 8/30、総合福祉部会において、障害者総合福祉法の骨格提言が取りまとめられました。 ↓ これは、障害者自立支援法に反対する人たちが、自分たちに都合がいいような内容になるよう、好き勝手にまとめた訳ではありません。 ↓ 総合福祉部会は障がい者制度改革推進会議の下にあり、推進会議が出来た背景には国連の障害者権利条約があることは明白です。 ↓ この一連の時代背景・経緯を、まずはしっかりと踏まえましょう! P3 全てのベースは、国連障害者権利条約! 障害者総合福祉法骨格提言 ※2011.8.30 障害者基本法抜本改正 ※2011.8.5施行 障がい者制度改革推進会議 ※2010.1.22〜 ・一次意見(2010.6.29閣議決定) ・二次意見(2010.12.17) 国連障害者権利条約 ※2006.12.13国連総会で満場一致採択 ※日本も批准を目指し2007.9.28に署名済み。 P4 障がい者制度改革推進本部・推進会議 障がい者制度改革推進体制 本部 ←「障がい者制度改革」の総合的・集中的推進(@障がい者制度改革の推進に関する総合調整、A障がい者制度改革推進計画の案の作成及び推進、B必要な法律案及び政令案の立案等) (内閣総理大臣を本部長として全ての国務大臣で構成)←設置期限(法施行から5年)を設け、その間に障がい者制度改革を集中的に実施 ↓ 障がい者制度改革推進会議 (障がい者、障がい者の福祉に関する事業に従事する者、学識経験者)←本部に置かれる会議において、障がい者の意見を反映(障がい者の制度改革の案に関し本部長に意見を述べるほか、障がい者制度改革に関する事項について調査審議し、その結果に基き、本部長に意見を述べる) ↓ 各課題別部会 ※障害者の制度改革の実施に必要な事務は、内閣府において一元的に処理〔担当部門には、障がい者等で民間の優れた見識を有するものの登用を想定〕 P5 国連総会採択!新たな歴史の始まり! (国会採択の写真) ・2006年12月13日、第61回国連総会で、「障害者の権利条約」ならびに「選択議定書」を満場一致で採択! ・2007年3月30日に条約の署名に開放。署名開放日当日に署名が82カ国・地域。日本政府は2007年9月28日に署名。2008年5月正式発効 P6 一般的原則(3条) ・原則を規定する条約は珍しい ・条約の解釈や適用の際の指導原理・基本原則 ・8つの原則 ・固有の尊厳、自律・自己決定 ・非差別 ・社会への完全参加とインクルージョン ・差異の尊重 ・機会の均等 ・アクセシビリティ ・男女平等 ・障害児の発達しつつある能力の尊重、アイデンティティの保持の権利 P7 国際的な自立生活運動と第19条 ・第19条 自立した生活(生活の自律)及び地域社会へのインクルージョン −国際的な障害者運動が提起した概念を導入 ・障害のあるすべての人に対し、他の者と平等な選択の自由を有しつつ地域社会で生活する平等な権利を認め、また、障害のある人によるこの権利の完全な享有並びに地域社会への障害のある人の完全なインクルージョン及び参加を容易にするための効果的かつ適切な措置 P8 社会的入院・入所、地域サービス ・第19条−(a) 障害のある人が、他の者との平等を基礎として居住地及びどこで誰と住むかを選択する機会を有し、かつ、特定の生活様式で生活することを義務づけられないこと。 →脱施設化条項 ・(b)地域社会における生活及びインクルージョンを支援するために並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会の支援サービス(パーソナル・アシスタンスを含む)へのアクセス →地域生活支援条項 P9 障害者の地域自立生活の流れ @1970年代からの当事者運動の歩みとノーマライゼーション A多少の揺り戻しや、遅々とした歩みであっても、次の流れは変えようがない ・「保護・更生」から「自立・権利」 ・施設から地域自立生活 B障害者権利条約と「自立生活・地域社会へのインクルージョン」 P10 歴史を変える議論を ・「今日の会議から歴史が変わったと思えるような議論をしてほしい。私たち抜きに私たちのことを決めないでという当事者の声をもとに進めていきたい」(1月12日 元・福島大臣冒頭挨拶 @障害者基本法の抜本改正 A障害者差別禁止法制のあり方 B総合福祉法等 ・夏頃までに中間報告(→第一次意見) P11 一年間でのべ29回の推進会議 ・1月12日(第1回) 推進会議開始 100項目に及び論点(東室長作成)に基づく議論 関係団体・省庁からのヒアリング ・6月7日(第14回) 第一次意見とりまとめ ・6月29日 第一次意見に基づく閣議決定 ・12月17日(第29回) 第二次意見とりまとめ ・平行して総合福祉部会(4月〜)、差別禁止部会(11月〜)開催 P12 障害者制度改革の推進のための基本的な方向 (第一次意見) (障がい者制度改革推進会議)【概要】 1.背景・経緯 ・日本の障害者福祉政策の経緯、障害者の人権確保に関する国際的な取組(「障害者の権利宣言」(1975)、「国連障害者の十年」(1983~)等)→障害者権利条約の採択 (2006)、発効 (2008)→締結に向け国内の制度改革へ ・「障がい者制度改革推進本部」を内閣に設置(昨年12月)・・・条約の締結に必要な国内法の整備を始めとする我が国の障害者に係る制度の集中的な改革の実施 ・「障がい者制度改革推進会議」の開催(本年1月〜)・・・障害当事者を中心に構成し、改革の「エンジン部隊」として計14回にわたり審議 →第一次意見の取りまとめ(H22.6.7) ○基本的な考え方 1.「権利の主体」である社会の一員 2.「差別」のない社会づくり 3.「社会モデル」的観点からの新たな位置付け 4.「地域生活」を可能とするための支援 5.「共生社会」の実現 ○基礎的な課題における改革の方向性 1)地域で暮らす権利の保障とインクルーシブな社会の構築・・・地域移行や地域生活支援の充実を柱に据えた施策の展開 2)障害の捉え方・・・国民全体の意識改革(医学モデル→社会モデル) 3)障害の定義・・・サービスを必要とするすべての障害者を支援 4)差別の定義・・・法律における定義の明確化 (合理的配慮を含む) 5)言語・コミュニケーションの保障・・・法律における定義の明確化 6)虐待のない社会づくり・・・虐待防止、被害の救済等の制度構築 7)障害の表記・・・国民各層の議論動向を踏まえた考え方の整理 8)実態調査・・・障害者及び家族の実態把握 ○横断的課題における改革の基本的方向性 1)-1「障害者基本法」の抜本的改正 ・障害の定義、差別の定義、施策分野規定の見直し・追加。改革集中期間終了後、障害者権利条約の実施状況の監視等を担うモニタリング機関(改革集中期間終了後設置) 1)-2改革集中期間における推進体制 ・中央障害者施策推進協議会及び推進会議を発展的に改組し、改革集中期間における改革推進等を担う審議会組織を設置(改革集中期間終了後、上記のモニタリング機関へ移行) →第二次意見を踏まえ、23年に法案提出 2)「障害を理由とする差別の禁止法」(仮称)等の制定 ・障害者に対する差別を包括的に禁止し、被害を受けた場合の救済等を目的とした制度の構築 →「差別禁止部会」で検討、25年に法案提出、併せて他の関係法律整備法案も検討 これに関連し、人権救済制度に関する法案も早急に提出できるよう検討 3)「障害者総合福祉法」(仮称)の制定 ・制度の谷間を生まず、障害者が地域で自立した生活を営むことができる制度の構築 →「総合福祉部会」で検討、24年に法案提出、25年8月までの実施 ○個別分野における基本的方向と今後の進め方 ※各個別分野については、改革の集中期間内に必要な対応を図るよう、工程表としてそれぞれ検討期間を設定 1)労働及び雇用 ・雇用率制度の在り方の検証・検討(〜24年度) ・福祉的就労への労働法規の適用の在り方 (〜23年度) ・職場での合理的配慮確保のための方策 (〜24年度)等 2)教育 ・障害の有無にかかわらず共に教育を受けられる教育制度 (インクルーシブ教育)の基本的方向(〜22年度) ・手話・点字等に通じた教員等の確保・専門性の向上に係る方策 (〜24年)等 3)所得保障等 ・障害者の所得保障の在り方を公的年金の抜本見直しに併せて検討 (〜24年) ・住宅の確保のための支援の在り方 (〜24年)等 4)医療 ・精神障害者の強制入院等の在り方(〜24年) ・社会的入院等を解消するための体制(〜23年度) ・医療費用負担の在り方(応能負担)(〜23年)等 5)障害児支援 ・相談・療育支援体制の改善に向けた方策 (〜23年)等 6)虐待防止 ・行為者の範囲、救済・監視機関の在り方等 7)建物利用・交通アクセス ・地方のバリアフリー整備の遅れ解消の方策 (〜22年度)等 8)情報アクセス・コミュニケーション保障 ・情報バリアフリー化のための環境整備の在り方 (〜24年) ・障害特性に応じた災害時緊急連絡の伝達の方策 (〜24年)等 9)政治参加 ・選挙情報への障害者のアクセスを容易にする取組 (〜22年度) ・投票所のバリア除去等 10)司法手続 ・刑事訴訟手続における障害の特性に応じた配慮方策 (〜24年) ・司法関係者に対する研修の一層の充実等 11)国際協力 ・アジア太平洋での障害分野の国際協力への更なる貢献等 ○障害者制度改革の基本的方向と今後の進め方 平成22年・第一次意見取りまとめ→・制度改革の基本的方向を決定(6月中下旬予定) ・第二次意見取りまとめ(秋から年末目途)→・制度改革の重要方針を決定 ・推進会議で検討 ・差別禁止部会(夏以降)で検討 ・総合福祉部会(4月〜)で検討 平成23年・障害者基本法抜本改正・制度改革の推進体制等に関する法案の提出 ・改革集中期間内において、推進会議又はこれを継承する審議会組織は、改革が必要な制度・施策や次期基本計画の在り方等について議論し、必要に応じ政府に対して意見提出 平成24年・次期障害者基本計画決定(12月目途) 障害者総合福祉法案(仮称)の提出 平成25年・障害者差別禁止法案(仮称)の提出(改革の推進に必要な他の関係法律の一括整備法案も検討) ・障害者総合福祉法8月までの施行 P13 第一次意見での工程の再確認 ・2011年障害者基本法の抜本改正 ・2012年総合福祉法(仮)の制定 そのために、2011年8月までに部会でとりまとめ ・2013年差別禁止法の制定 ※向こう3年間の法律制定の第一弾。障害者基本法改正は、総合福祉法・差別禁止法等、今後の制度改革のスプリングボード P14 障害者制度改革の推進のための第二次意見(平成22年12月17日障がい者制度改革推進会議)【概要】 ○背景・経緯 ・障がい者制度改革推進本部の下で、障がい者制度改革推進会議を開催・・・平成22年1月から計29回にわたり精力的な審議 ・「障害者制度改革の推進のための基本的な方向」(第一次意見)(平成22年6月) の[第二次意見に基づき、障害者基本法の改正に関する法律案を平成23年の常会に提出すべき]との方針に沿うもの ○障害者基本法改正の趣旨・目的 ・個性と人格を認め合うインクルーシブ社会の構築 ・障害概念を社会モデルへ転換、基本的人権を確認 ・施策の実施状況を監視する機関の創設 ○総則関係 1)目的 ・障害の有無にかかわらず個性と人格を尊重する社会の実現 等 2)定義 ・「社会モデル」の考え方を踏まえた障害の定義の見直し 等 3)基本理念 ・基本的人権の享有主体として、尊厳にふさわしい生活を保障される権利 ・権利条約における「地域社会で生活する平等の権利」の確認 ・必要な支援を受けた自己決定に基づく社会参加の権利の確認 ・手話等の言語の使用及びコミュニケーション手段の利用(権利条約における「表現及び意見の自由についての権利」の確認)等 4)差別の禁止 ・権利条約を踏まえた障害に基づく差別に係る規定の見直し ・差別及びその防止に関する事例の収集、整理及び提供等 5)障害のある女性 ・複合的な困難を経験している障害のある女性が置かれた状況に配慮等 6)障害のある子ども ・障害のない子どもと等しく「意見表明権」を含む人権が認められ、地域社会において本人やその保護者等への必要な支援の提供等 7)国及び地方公共団体の責務 ・ 地域生活と社会参加に必要な支援、障害に基づく差別の防止等 8)国民の理解・責務 ・障害のない人と等しく有する障害者の権利に関する理解を深めること ・障害の有無にかかわらず、相互に権利を尊重 ・事業者等は、障害者の権利の実現とその地位の向上に努める等 9)国際的協調 ・国際的協調の下で障害者施策を推進等 10 )障害者週間 ・障害者の社会参加を促進する観点から位置づけ、民間団体等の参画等 11 )施策の基本方針 ・社会的な要因を除去する観点から実施、障害者の性別、年齢、障害の状態に配慮、生活の実態や困難さに基づいた支援の提供 ・権利条約における「地域社会で生活する平等の権利」を踏まえ実施 ・施策を講ずるに当たって、障害者等の意見を可能な限り尊重等 12 )その他 ・障害者等の参画を得て、障害者基本計画等を策定 ・差別禁止法制を含む必要な法制上及び財政上の措置を実施 ・障害者の状況、講じた施策等の概況報告を毎年国会に提出等 ○基本的施策関係 1)地域生活 ・必要に応じた支援の提供、障害者の地域移行の計画的推進 ・利用者負担に関して、本人の所得を基礎とすること等 2)労働及び雇用 ・合理的配慮及び必要な支援の提供、生計を立て得る収入と働 く機会の確保 ・多様な就業の場の創出と仕事の確保 ・障害者雇用義務の対象拡大等 3)教育 ・インクルーシブな教育制度の構築(障害のある子とない子が同じ場で共に学ぶことを原則) ・就学先の決定は本人・保護者の意思に反しないことを原則 ・障害のある子どもに合理的配慮や必要な支援の提供等 4)健康、医療 ・人権を確保しつつ、必要な医療が提供されること ・身近なところでの必要な医療や支援サービスの提供 ・難病等の治療や症状の軽減に係る調査研究の推進等 5)障害原因の予防 ・公衆衛生又は医療施策の一環として実施等 6)精神障害者に係る地域移行の促進と医療における適正手続の確保 ・地域移行の計画的推進、地域社会での自立した生活 ・医療における適正手続の保障等 7)相談等 ・必要なコミュニケーション手段の提供と身近な地域での相談 ・相談体制の整備、障害者自身や家族による相談、相談を行う者への必要な研修等 8)住宅 ・地域移行の促進、様々な障害者自らの必要に応じた住宅の確保等 9)ユニバーサルデザインと技術開発 ・ユニバーサルデザインの理念の施策への反映 ・福祉用具等の研究開発や普及等 10 )公共的施設のバリアフリー化と交通・移動の確保 ・地方部におけるバリアフリー化の計画的推進、合理的配慮を確保するための施策等 11 )情報アクセスと言語・コミュニケーション保障 ・様々な情報にアクセスし、自ら必要とする多様なコミュニケーション手段等が利用できること ・障害の特性に配慮した伝達手段による災害情報の提供等 12 )文化・スポーツ ・様々な文化・スポーツ活動を可能とするための施策等 13 )所得保障 ・地域社会で自立した生活ができるための年金、手当等、障害のために追加的に要する負担軽減を図るための施策等 14 )政治参加 ・障害の種別や特性に応じた施策 ・選挙等に係る情報の提供や投票について障害の特性に配慮等 15 )司法手続 ・障害の特性に応じたコミュニケーション手段の確保 ・関係職員に対する障害の理解に関する研修等 16 )国際協力 ・外国政府、国際機関又は民間団体等との連携や協力 ・国際協力事業全般におけるバリアフリー化の促進等 ○推進体制 ・中央障害者施策推進協議会及び推進会議を発展的に改組し、障害当事者等が過半数を占める新たな審議会組織を設置 ・障害者基本計画及び障害者に関する基本的な政策に関する調査審議を行うとともに、施策の実施状況を監視し、必要に応じて応答義務を伴う勧告を実施 ・改革の集中期間において、制度改革の推進に関する事項についても調査審議 ・関係行政機関・団体等に対し必要な協力を求め、また委員の適正な待遇を確保 (地方) ・地方に置かれる審議会組織は、障害当事者等が過半数を占める構成とし、新たに施策の実施状況に関する監視事務を追加 ○「障害」の表記 ・法令等では、当面「障害」を使用 ・改革期間内を目途に一定の結論 P15 障害者基本法改正案をめぐって ・2月に障害者基本法改正案が示される ・委員から意見が相次ぐとともに、JDFは関係議員等への働きかけ ・3/11午前第3回障がい者制度改革推進本部 障害者基本法改正案報告・了承 午後2時46分東日本大震災発生 ・4/18震災で延期になっていたが推進会議開催 ・4/22基本法改正案閣議決定−衆議院上程 ・6/16衆議院で修正の上可決、参議院へ、 ・7/29参議院で可決・成立⇒8/5施行 P16 障害者基本法の一部を改正する法律案【概要】資料1-1 総則関係(公布日施行) 1)目的規定の見直し(第1条関係) ・全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有する個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する等 2)障害者の定義の見直し(第2条関係) ・身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁(事物、制度、慣行、観念等)により継続的に日常生活、社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの等 3)地域社会における共生等(第3条関係) 「相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会」の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図る ・全て障害者は、あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること ・全て障害者は、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと ・全て障害者は、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること 4)差別の禁止(第4条関係) ・障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 ・社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 ・差別等の防止に関する啓発及び知識の普及等 5)国際的協調(第5条関係) ・1)に規定する社会の実現は、国際的協調の下に図られなければならない。等 6)国及び地方公共団体の責務(第6条関係) ・3)から5)までに定める基本原則にのっとり、施策を実施する責務等 7)国民の理解(第7条関係) ・国及び地方公共団体は、基本原則に関する国民の理解を深めるよう必要な施策等 8)国民の責務(第8条関係) ・国民は、基本原則にのっとり、1)に規定する社会の実現に寄与するよう努める。等 9)障害者週間(第9条関係) ・事業の実施に当たり 民間団体等と相互に緊密な連携協力を図る等 10)施策の基本方針(第10条関係) ・障害者の性別、年齢、障害の状態、生活の実態に応じて施策を実施 ・障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努める。等 基本的施策関係(公布日施行) 1)医療、介護等(第14条関係) ・障害者の性別、年齢、障害の状態、生活の実態に応じ、適切な支援を受けられるよう必要な施策 ・身近な場所において医療、介護の給付等を受けられるよう必要な施策を講ずるほか、人権を十分尊重等 2)教育(第16条関係) ・年齢、能力に応じ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるよう、障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策 ・調査及び研究、人材の確保及び資質の向上並びに学校施設その他の環境の整備の促進等 3)療育(第17条関係) ・身近な場所において療育その他これに関連する支援を受けられるよう必要な施策等 4)職業相談等(第18条関係) ・多様な就業の機会を確保するよう努めるとともに、個々の障害者の特性に配慮した職業相談、職業訓練等 5)雇用の促進等(第19条関係) ・国、地方公共団体、事業者における雇用を促進するため、障害者の優先雇用その他の施策 ・事業主は、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の障害者の特性に応じた適正な雇用管理等 6)住宅の確保(第20条関係) ・地域社会において安定した生活を営むことができるようにするため、住宅の確保、住宅の整備を促進するよう必要な施策等 7)情報の利用におけるバリアフリー化等(第22条関係) ・ 円滑に情報を取得・利用し、意思を表示し、他人との意思疎通を図ることができるよう必要な施策 ・災害等の場合に安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策等 8)相談等(第23条関係) ・障害者の家族その他の関係者に対する相談業務等 9)文化的諸条件 ・障害者が円滑に文化活動、スポーツ又はレクリエーションを行うことができるよう必要な施策等 10 )選挙等における配慮【新設】(第26条関係) ・選挙等において、円滑に投票できるようにするため、投票所の施設、設備の整備等必要な施策等 11 )司法手続における配慮等【新設】(第27条関係) 刑事事件等の手続の対象となった場合、民事事件等の当事者等となった場合、権利を円滑に行使できるよう、個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮するとともに、関係職員に対する研修等必要な施策等 12 )国際協力【新設】(第28条関係) ・外国政府、国際機関又は関係団体等との情報の交換その他必要な施策等 障害者政策委員会等(公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日) 国)障害者政策委員会(第30〜33条関係) ・中央障害者施策推進協議会を改組し、非常勤委員30人以内で組織する障害者政策委員会を内閣府に設置等 (障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者、学識経験者のうちから任命) ・障害者基本計画の策定に関する意見具申。同計画に関し調査審議し、必要があると認めるときは意見具申等 ・同計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは総理又は総理を通じて関係各大臣に勧告等等 ・関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明等の協力を求めることができる。等 地方)審議会その他の合議制の機関(第34条関係) ・地方障害者施策推進協議会を改組し、その所掌事務に障害者に関する施策の実施状況の監視を追加等 P17 基本法改正案の評価と課題@ ・「障害の有無にかかわらず分け隔てられることのない共生社会」を目的 ・「谷間の障害」を包含した障害の定義 ・言語には手話が含まれることを明記 ・勧告権を持った障害者政策委員会 一方、可能な限り ・特に、地域生活等での不十分性 ・入らなかった精神障害分野、障害のある女性 P18 基本法改正案の評価と課題A ・6/15衆議院・内閣委員会での修正は12項目(政府提案の閣法としては異例とのこと) ・修正案で新設された防災・防犯、消費者保護 ・インクルーシブ教育が原則との副大臣答弁 ・附則 @3年後見直し A地域における保健、医療、及び福祉の有機的連携の確保…→精神障害者の社会的入院の解消等の課題をここで読み込む(国会答弁) →政策委員会での監視の上3年後見直し! 地方も含めた制度改革を! P19 遅れた障害者の安否・実態把握 ・在宅で通所やホームヘルプ等を利用されず、家族だけで何とかやっていた障害者の安否確認が最も遅れた(現在も) ・「個人情報保護」の壁というが →障害者の安否確認を行政自らの業務と認識しているか?cf 阪神時の神戸市からのNPO要請 ・南相馬市などいくつかの自治体での取り組み P20 総合福祉部会2010年から2011年活動スケジュール(震災影響反映) ○部会全体会 2010年6月22日・7月27日・8月31日・9月21日新法論点についての共通理解を深める 2010年10月26日・11月19日・12月7日第1期課題別作業チーム検討案を議論 2011年1月25日第1期作業チーム報告・討議 2011年2月15日・3月・4月(基本的に毎月1回開催)第2期課題別作業チーム検討案を議論 2011年6月第2期作業チーム報告・討議 2011年7月新法骨格整理 2011年8月新法骨格提言 ○部会作業チーム 2010年6月〜9月新法策定にあたり、より詰めた議論や検討が必要な課題について、課題別作業チームを編成し、全体会議に諮る検討案を作成する。(部会全体会の後に、作業チームに別れて協議検討) 2010年10月〜12月第1期作業チーム1月に報告書提出:法の理念・目的【藤井克徳座長】・障害の範囲【田中伸明座長】・選択と決定・相談支援プロセス(程度区分)【茨木尚子座長】・施策体系(訪問系)【尾上浩二座長】・日中活動とGHCH住まい方支援【大久保常明座長】・地域生活支援事業の見直しと自治体の役割【森祐司座長】(検討状況の報告毎回の部会で「議事概要」提出) 2011年1月第1期作業チーム報告・討議 2011年2月〜5月第 2 期作業チーム震災の影響で一カ月ずれ込み。6月に報告書提出・選択と決定・相談支援プロセス(程度区分)【茨木尚子座長】・地域移行【大久保常明座長】・地域生活の資源整備【森祐司座長】・利用者負担【田中伸明座長】・報酬や人材確保等【藤岡毅座長】 2011年6月第2期作業チーム報告・討議 ○障がい者制度改革推進会議との合同作業チーム 2010年6月〜9月就労、医療、児童分野については合同作業チームで論点の整理・検討を行う。 2010年10月〜2011年5月就労(労働及び雇用)【松井亮輔座長】・医療(主に精神分野) 医療(その他の医療一般)【堂本暁子座長】・障害児支援【大谷恭子座長】 P21 普段から地域で暮らせるコミュニティを ・第19条「自立した生活と地域社会へのインクルーシブ」 の「地域社会からの孤立及び隔離を防止」のためのサービスへアクセスの意義 ・被害の大きかった沿岸部では、震災前から地域生活支援サービスの利用が進んでいなかった→障害者ヘルプ事業所がほとんどない ・平時から、必要な支援を受け、社会参加をして暮らせるコミュニティこそ災害に強いまち P22 障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言 −新法の制定を目指して− 平成23(2011)年8月30日 障がい者制度改革推進会議総合福祉部会 P23 何としても実現したい地域生活 ・すべての障害者の地域生活の権利の確認 ・障害程度区分(連動した国庫負担基準)の廃止→協議・調整による支給決定と本人中心計画や各種エンパワメント支援 ・重度訪問介護の発展によるパーソナルアシスタンス制度 ・サービス費用に対する国庫負担金+長時間介護の財政調整 ・地域移行と地域基盤整備計画(財源確保) P24 骨格提言の構成 ・はじめに ・T部 障害者総合福祉法の骨格提言 @法の理念・目的・範囲 A障害者の範囲 B選択と決定(支給決定) C支援体系 D地域以降 E地域移行の資源整備 F利用者負担 G相談支援 H権利擁護 I報酬と人材確保 ・U部 総合福祉法制定と実施への道程 ・V部 関連する他の法律や分野 ・おわりに ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合 それは弱くもろい社会である。 P25 骨格提言の概要 ・はじめに ○骨格提言の基礎となった2つの指針 (1)障害者権利条約 (2)基本合意文書 ○障害者総合福祉法がめざすべき6つのポイント 【1】障害のない市民との平等と公平 【2】谷間や空白の解消 【3】格差の是正 【4】放置できない社会問題の解決 【5】本人のニーズにあった支援 【6】安定した予算の確保 P26 障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言(概要) 障害者総合福祉法の6つのポイント 1.障害のない市民との平等と公平 2.谷間や空白の解消 3.格差の是正 4.放置できない社会問題の解決 5.本人のニーズにあった支援 6.安定した予算の確保 T.障害者総合福祉法の骨格提言 1.法の理念・目的・範囲 ・障害の有無によって分け隔てられない共生社会を実現する。 ・保護の対象から権利の主体への転換と、医学モデルから社会モデルへの障害概念の転換。 ・地域で自立した生活を営む権利。 2.障害(者)の範囲 ・障害者総合福祉法が対象とする障害者(障害児を含む)は、障害者基本法に規定する障害者をいう。 ・心身の機能の障害には、慢性疾患に伴う機能障害を含む。 3.選択と決定(支給決定) ・障害程度区分に代わる新たな支給決定の仕組み。 ・サービス利用計画に基づく本人の意向等が尊重される。 ・協議調整により必要十分な支給量が保障される。 ・合議機関の設置と不服申立。 4.支援(サービス)体系 ・障害者権利条約を踏まえ、障害者本人が主体となって、地域生活が可能となる支援体系の構築。 ・「全国共通の仕組みで提供される支援」と「地域の実情に応じて提供される支援」で構成。 5.地域移行 ・国が社会的入院、入所を解消するために地域移行を促進することを法に明記する。 ・地域移行プログラムと地域定着支援を法定施策として策定、実施。 ・ピアサポーターの活用。 6.地域生活の基盤整備 ・計画的な推進のため地域基盤整備10ヵ年戦略策定の法定化。 ・市町村と都道府県は障害福祉計画を、国はその基本方針と整備計画を示す。 ・地域生活支援協議会の設置。 7.利用者負担 ・食材費や光熱水費等は自己負担とする。 ・障害に伴う必要な支援は原則無償とするが、高額な収入のある者には応能負担を求める。 8.相談支援 ・対象は障害者と、支援の可能性のある者及びその家族。 ・障害者の抱える問題全体に対応する包括的支援を継続的にコーディネートする。 ・複合的な相談支援体制の整備。 9.権利擁護 ・権利擁護は支援を希望又は利用する障害者の申請から相談、利用、不服申立てのすべてに対応する。 ・オンブズパーソン制度の創設。 ・虐待の防止と早期発見。 10.報酬と人材確保 ・利用者への支援に係る報酬は原則日払い、事業運営に係る報酬は原則月払い、在宅系支援に係る報酬は時間割とする。 ・福祉従事者が誇りと展望を持てるよう適切な賃金を支払える水準の報酬とする。 U.障害者総合福祉法の制定と実施への道程 1.障害者自立支援法の事業体系への移行問題 ・自立支援法の事業移行期限終了後も一定の要件の下で移行支援策を継続する。 2.障害者総合福祉法の制定及び実施までに行うべき課題 ・総合福祉法の制定及び実施に当たり地方自治体の意見を踏まえる。 ・総合福祉法の策定及び実施のための実態調査や試行事業を行う。 3.障害者総合福祉法の円滑な実施 ・総合福祉法を補完する、あるいはこれへの移行を支援する基金事業を設けること。 4.財政のあり方 ・国は予算措置に必要な基礎データを把握する。 ・障害関連予算をOECD諸国の平均水準を目標漸進的に拡充する。 ・財政の地域間格差の是正を図る。 ・財政設計にあたり一般施策での予算化を追求。 ・障害者施策の推進は経済効果に波及する。 ・支援ガイドラインに基づく協議調整による支給決定は財政的にも実現可能である。 ・長時間介助等の地域生活支援のための財源措置を講じること。 V.関連する他の法律や分野との関係 1.医療 ・医療は福祉サービス及び保健サービスとの有機的連携の下で提供される必要がある。 ・福祉、保健、医療にわたる総合的な相談支援が必要。 2.障害児 ・障害児を含むすべての子供の基本的権利を保障する仕組みの創設が必要。 ・障害を理由に一般児童施策の利用が制限されるべきではない。 3.労働と雇用 ・障害者雇用促進法を見直し、雇用の質の確保、必要な支援を認定する仕組みの創設、雇用率や納付金制度見直し等を行う。 ・労働と福祉の一体的展開。 P27 T−1法の理念・目的・範囲 この法律は『障害者総合福祉法』と称する。(P8) 目的 理念 ○全ての障害者が、等しく基本的人権を享有する個人として尊重され、他の者との平等が保障 ○障害の種類、軽重、年齢等に関わりなく保障 ○国及び地方公共団体が、障害に基づく社会的不利益を解消すべき責務を負い、その施策を総合的かつ計画的に実施すべき義務を負っている ○全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられない共生社会を実現 ○保護の対象から権利の主体への転換を確認 ○医学モデルから社会モデルへの障害理念の転換を確認 P28 T−1法の理念・目的・範囲 地域で自立した生活を営む基本的権利 1.障害ゆえに命の危険にさらされない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障 2.障害者は、必要とする支援を受けながら、意思(自己)決定を行う権利が保障 3.障害者は、自らの意思に基づきどこで誰と住むかを決める権利、特定の様式での生活を強制されない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障 4.障害者は、自ら選択する言語(手話など非音声言語を含む)及びコミュニケーション手段を使用して、市民として平等に生活を営む権利を有しそのための情報・コミュニケーション支援を受ける権利が保障 5.障害者は、自らの意思で移動する権利を有し、そのための外出介助、ガイドヘルパー等の支援を受ける権利が保障 6.以上の支援を受ける権利は、障害者の個別の事情に最も相応しい内容でなければならない 7.国及び地方公共団体は、これらの施策実施の義務を負う P29 T−1法の理念・目的・範囲 義務 国の義務 ・1.障害の有無、種別、軽重等に関わらず障害者がどの地域に居住していても等しく安心して生活することができる権利を保障する義務を有する。 ・2.障害種別や程度による制度の谷間や空白及び制度上の格差が生じないように制度設計を行う義務を有する。 ・3.地域間に支援の格差が発生することを防止し、又は発生した格差を解消することができる制度設計を行う義務を有するとともに、市町村への支援施策に関し必要な財政上の措置を行う。 ・4.都道府県と共に、市町村が実施する支援施策の実態を把握しこの法の基本的権利に基づいて、それが実施されるように、広くその実施状況を国民に明らかにし、法の実施を監視し、推し進める責務を有する。 都道府県の義務 ・1.市町村の行う支援施策の実態を把握すると共に、この法の基本的権利に基づいて、それが実施されるように、広くその実施状況を都道府県民に明らかにし、法の実施を推し進めること。 ・2.市町村の支援施策に対して、必要な財政的補助を行うこと。その際、特定の市町村に集中する実態等があればそのことを勘案すること。 ・3.市町村の支給決定に対してなされる不服申し立てを受理し、法の基本的権利に基づいて審査する際、必要な措置を講じること。 ・4.市町村と連携を図りつつ、相談支援体制の整備及び広域でなければ実施が困難な支援を行うこと。 市町村の義務 ・1.当該市町村の区域における障害者の生活の現状及び障害者がどこで誰と生活し、どのような分野で社会参加を希望・選択するか等を把握した上で、関係機関との緊密な連携を図りつつ、必要な支援施策を総合的かつ計画的に実施すること。 ・2.障害者の支援施策の提供に関し、必要な情報の提供及び適切な説明を尽くし、並びに相談に応じ、必要な調査及び指導を行うと共に、そのサービス利用計画等を勘案して必要な支援施策を提供すること。 国民の義務 すべての国民は、その障害の有無にかかわらず、相互にその人格と個性を尊重しあながら強制することのできる社会の実現に協力するものとする。 ○基盤整備義務 国及び地方公共団体は、支援を実施する事業者が地域に偏在しないよう事業者への財政援助、育成を含めた基盤整備義務を有する。 P30 T−1法の理念・目的・範囲 介護保険との関係 ○障害者総合福祉法は、障害者が等しく基本的人権を享有する個人として、障害の種別と程度に関わりなく日常生活及び社会生活において障害者のニーズに基づく必要な支援を保障するものであり、介護保険法とはおのずと法の目的や性格を異にするものである。この違いを踏まえ、それぞれが別個の法体系として制度設計されるべきである。 ○介護保険対象年齢になった後でも、従来から受けていた支援を原則として継続して受けることができるものとする。 P31 T−2障害(者)の範囲 法の対象規定 ・障害者基本法(平成23年8月5日公布) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、慣行、観念その他一切のものをいう ○障害者総合福祉法が対象とする障害者(障害児を含む)は、障害者基本法第二条第一項に規定する障害者をいう。 ○上記の定義における心身の機能の障害には、慢性疾患に伴う機能障害を含むものとする。 難病に起因する機能障害が含まれることや、「継続的に」は断続的なもの、周期的なものが含まれることが確認(国会議事録) P32 T−3選択と決定(支給決定) ■支給決定の目的 〇地域で暮らす他σ,者との平等を基礎として生活することを可能とする仕組。 〇障害者本人(及び家族)の意向やその人が望む暮らし方を支援するための支給決定。 ■サービス利用計画 (障害者へのエンパワメント支援と意思決定支援が重要) ○障害者がどのような支援をどの程度利用したいのか、サービス利用計画として作成し、市町村に提出。 ○障害者自身又は、本人が家族や支援者の協力を得て作成するか、本人が希望する場合には相談支援機関を利用し、相談支援専門員と一緒に作成。 ■障害の確認 ○障害者総合福祉法の対象者となるか否か、「心身の機能障害」の有無を確認。 ○障害者手帳、医師等の診断書、意見書の利用 ■支援ガイドラインによるニーズアセスメント ○支援ガイドラインは、障害の種類や程度に基づく障害程度区分ではなく、障害者本人が望む暮らし方を実現するために、必要な支援とその 量を示すもの。 ○国は、障害者等の参画の下に、支援ガイドラインをモデルとして策定し、市町村はそれを最低ラインとして、当事者等の参画により策定。 ○市町村は支援ガイドラインに基づいて、サービス利用計画についてニーズアセスメントし、支給決定。 ■協議調整等 O市町村は、支援ガイドラインの水準やサービス内容に適合しなしい場合、障害者(及び支援者)と協議調整。 ○協議調整が整わない場合に、合議機関(障害者の意見陳述あり)による判断を尊重し支給決定。 ○障害者の出席、意見陳述、反論の機会が障害者等に与えられるように、不服申立の仕組みを整備。 ■試行事業の実施と自治体への周知 ○国は、地方自治体の協力を得て、新たな支給決定の仕組みについて試行事業を行い、その結果を障害者及びその関係者、自治体等と検 証。 ○国は、自治体等への周知を図り、十分な準備を経て導入。 P33 新法の相談支援・支給決定の仕組みの方向性について これまでの仕組みとの相違点はどこなのか? P34 障害程度区分の問題点 ・客観的、公平な指標というが・・1次から2次審査で、知的、精神障害は40%以上の変更率。都道府県による大きな差 ・本人の意志が反映されない −働きたい、学びたい、遊びたい・・生活場面やライフステージによって必要なサービスやサービス量は違うはず ・地域の実情や環境の違いが反映されない −都会と過疎地域(交通の便)や雪国など環境要因により違うはず ・国家負担基準として使われ、サービス上限となってしまうリスクがある P35 障害程度区分とサービス類型表 ホームヘルプ〔非該当:生活サポート事業・区分1〜区分6利用可能〕 行動援護〔区分3〜区分6(行動援護の判定において10点以上のもの)〕 移動支援〔区分1〜区分6〕 重度訪問介護〔区分4〜区分6(四肢のうち二肢に障害があり、歩行・移乗・排泄のいずれにも介助がいるもの)〕 重度障害者等包括支援〔寝たきりで呼吸管理がいるor最重度の知的障害or行動援護の判定において15点以上のもの〕 生活介護〔区分3〜区分6〕 就労系(日中)〔区分1〜区分6〕 ケアホーム〔区分2〜区分6〕 グループホーム〔区分1〜区分6〕 P36 障害者福祉サービス法における障害の範囲について ・手帳制度の限界・・谷間・狭間の問題 ↓ ・医学モデル段階での判断はインペアメントの確認のみにとどめる ⇒何らかの機能障害を有し、他の者との平等な社会参加が妨げられ、障害者支援サービスが必要と認められた人を法律の対象とする (医学的診断は最低限にとどめる・・機能障害の有無の根拠のみ) P37 新しい支給決定モデルとは ・一人ひとりの生活ニーズに基づく「本人中心支援計画」を策定することから始まる ・ニーズに基づくサービス利用計画の立案 ⇒その計画の妥当性がガイドラインに基づいて検討され、支給決定が行われるべき ↓ 本人が表明したニーズを「聴き取り」、行政担当者と本人との「交渉・調整」をとおして、支給量を決定するシステム P38 協議・調整モデルとは ・本人のニーズ表明「私はこうしたい」「こう生きたい」という生活の希望や志向性から始まる ↓ 誰でも人に自分のニーズをきちんと伝えることはたやすいことではない ↓ 本人へのエンパワメント支援・意思決定支援が必要不可欠! P39 「障害者総合福祉サービス法」が提起する本人の社会参加の希望に基づく協議・調整モデル図 本人中心支援計画を本人とともに作成する本人中心相談支援機関 ↓↑ 本人(家族・代理人)【本人中心計画+権利擁護】 ↓↑ 本人のエンパワーメントを支援するアドボカシー機関 スーパーバイジングを含むSW会議 ↓↑ 行政アセスメントSW【ガイドライン+一定の裁量権】 ↓↑ アセスメントSWをトレーニングする機関 本人(家族・代理人)【本人中心計画+権利擁護】⇒不服申立審査・仲裁機関 協議・調整↓↑⇒支給決定 行政アセスメントSW【ガイドライン+一定の裁量権】⇒⇒不服申立審査・仲裁機関 P40 支給決定の仕組み @本人中心支援計画(必要に応じて意思決定支援をつける)の策定(全員ではない) A法律の対象となる「障害」があることを確認する(各種障害者手帳のほか、医師の診断書、専門職の意見書など) B事前に確認方法を示し、サービス利用計画策定に入る前に本人及び相談支援専門員が確認可能な対応をとるようにする。 P41 Cサービス利用計画について、市町村がガイドラインに基づき、ニーズアセスメントを行う。 サービス利用計画(必要なサービスを申請する計画)策定(申請者全員が策定)をもとに市町村に申請を行う。 Dガイドライン水準を超える申請などの場合、本人(及び支援者)と市町村による協議調整を行い、支給決定する。 E両者による調整が困難である場合、もしくは本人が第三者機関での調整を要請した場合については、市町村に設置された合議機関において検討し、その結果を受けて市町村が支給決定を行うことができる。 P42 支援ガイドラインに基づく協議調整による支給決定の仕組み ○本人が作成する(セルフマネジメント)場合 ・サービス利用計画 ○相談支援専門員等とともに作成する場合 ・本人中心支援計画 ・サービス利用計画 申請【本人等】 ↓ 障害の確認【市町村】 ↓ ○支援ガイドラインに基づくアセスメント ↓ 支給決定 ↓⇒支給決定に納得できない場合⇒不服申立【都道府県】 サービス利用 ○支援ガイドラインに基づくアセスメント ↓ サービス利用計画がガイドラインの水準に適合しない場合 ↓ 協議・調整【本人等】【市町村】⇒協議が整わない場合⇒合議機関(希望に応じて本人の参画)⇒支給決定 ↓ 支給決定 P43 支給量を決定するためのガイドラインについて ・ADL中心の標準的・固定的区分は、自治体、当事者・支援者すべてにとって有益ではない  ↓ ・一定の目安(ガイドライン)と、自治体担当者の裁量の範囲の目安と、担当者のトレーニングが必要となる  ↓ ・合意にいたらなかった場合の不服申し立ての  仕組みが必要 P44 ガイドラインとは何か? ・本人中心計画を基に、サービス量を判定する為には、何らかの指針が必要となる    ↓ ・その市町村の支給決定をするための「水準」 「モデル」を示すものであって、「基準」「上限」ではない ・一人ひとりについて、個別の支給決定をするのであって、ガイドラインにあわせて支給決定を行うものではない⇒「裁量」の幅があること P45 ガイドラインの基本とは ・ガイドラインは、法における権利性に基づいて、「その地域の他の者との平等を基礎として生活することを可能とする支援の水準」を示すものである。 ・ガイドラインの策定にあたっては、(1)利用者の参加、(2)最重度の人を含めた地域支援の必要度の把握、(3)公費によるサービス提供水準、(4)市町村の障害者自立支援計画との連動、の4つの視点を持つものとする。 P46 新しい支給決定の仕組みの 方向性と課題について ・機能障害に基づく適格要件(程度区分)に基づく支給決定ではなく、障害者本人の望む 社会参加上のニーズをふまえて、必要なサービスを協議するというシステムをもりこめるか?  ↓ 当事者と支援者双方の力量とエンパワメントが必要となる。 (「客観的ものさし」を求めるのはなぜか?) P47 新しい法律策定にむけて ・当事者からの発信が必要   ⇒われわれが求めていることは何か     どの方向に施策を向かわせるのか ・地域からの発信が必要   ⇒当事者と支援者の合意形成による    地域レベルでの支援システムの構築  ⇒その積み上げによる国の財政保障が必要 骨格提言はスタートラインであり、それをどう新法に反映させるかは、より広く深い議論と戦略が必要。 P48 I−4 支援(サービス)体系  支援(サービス)体系 A.「全国共通の仕組みで提供される支援」 B.「地域の実情に応じて提供される支援」 ・個別生活支援(現在の訪問系サービスを当事者主体に再編) ・重度訪問介護の発展的継承によるパーソナルアシタンス制度の創設 ・パーソナルアシスタンスとは、1)利用者の主導(支援を受けての主導を含む)による、2)個別の関係性の下での、3)包括性と継続性を備えた生活支援 ・対象者は重度の肢体不自由者に限定せず、障害種別を問わず日常生活全般に常時の支援を要する障害者が利用できるように ・通勤、通学、入院、1日の範囲を越える外出、運転介助にも利用できるよう ・制度利用等の支援、見守りも含めた利用者の精神的安定のための配慮等の支援 ・移動介護(移動支援、行動援護、同行援護)の個別給付化 ・○障害種別を問わず、すべての障害児者の移動介護を個別給付に ・○障害児の通学や通園のために移動介護を利用できるように ・医療的ケアの拡充特定多数と特定個人で提供のあり方の違い入院中にも慣れた介助者によるサポートを確保 P49 現行のサービス体系と新法でのサービス体系図 障害者自立支援法のサービス体系 介護給付〔・ホームヘルプ・重度訪問介護・行動援護・重度障害者等包括支援・児童デイサービス・ショートステイ・療養介護・生活介護・施設入所支援・ケアホーム〕 訓練等給付〔・自立訓練(機能訓練・生活訓練)・就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)・グループホーム〕 地域生活支援事業〔・移動支援・地域活動支援センター・福祉ホーム・日中一時支援〕 →障害者総合福祉法における支援体系 全国共通の仕組みで提供される支援 1、就労支援 (障害者就労センター等の創設、モデル事業の実施検証を経て見直し)) 2、日中活動等支援 (デイアクティビティセンターの創設、ショートステイ、日中一時支援等) 3、居住支援 (GH・CHの一本化と機能整理等) 4、施設入所支援 (セーフティネット機能等の明確化を行い、地域基盤整備10ヵ年戦略終了時に検証) 5、個別生活支援 (パーソナルアシスタントの創設、居宅介護【身体介護、家事援助】、移動介護【移動支援、行動援護、同行援護】) 6、コミュニケーション支援及び通訳・介助支援 7、補装具 8、相談支援 9、権利擁護 地域の実情に応じて提供される支援 市町村独自支援 ・福祉ホーム ・居住サポート ・その他(支給決定プロセスを経ずに柔軟に利用できる支援等) *支援に要する費用については、国庫負担基準を廃止し、市町村が実際に要した費用を国・都道府県・市町村が負担する負担事業とする。長時間介助サービスに関しては市町村の負担を軽減する仕組みを設ける。 *障害者総合福祉法を補完し、またこれへの移行を支援するため、必要な基金を創設し基金事業として実施する。 P50 障害者就労支援の仕組みの推移等図 障害者自立支援法〔・就労移行支援事業・就労継続A、B型・地域活動支援センター・小規模作業所〕 →試行事業(パイロットスタディ)障害者総合福祉法〔・障害者就労センター・デイアクティビティセンター(作業活動支援部門)〕 →法施行後3年をめどに検証結果〔デイアクティビティセンター(作業活動支援部門)を含む障害者の就労支援の仕組みの見直し〕 障害者就労センター〔・労働法の全面適用または部分適用・賃金補填等を含め最賃以上を目指す〕 デイアクティビティセンター(作業活動支援部門)〔・労働法適用なし・年金等との調整で所得保障〕 P51 障害者総合福祉法における就労支援・日中活動等支援などの関係 一般就労・自営⇔障害者就労センター ・障害者総合福祉法に位置付ける。 ・多様な働き方についての試行事業を行い、同法施行後3年をめどにこれを検証する。その結果を踏まえ、障害者の就労支援の新たな仕組みについて検討する。⇔デイアクティビティセンター 作業活動支援部門 就労支援の一環として作業活動を中心とした社会参加活動等に取組む。左記以外の部門 生活訓練、趣味・創作活動等を通じて社会参加活動に取組む。 適切な仕事を安定的に確保する。 *官公需優先発注の制度化 *官公需における随意契約の促進 *雇用率制度とリンクした見なし雇用制度の導入 *民需の発注促進など 労働法規適用(全面適用または部分適用、自営を除く) 賃金補填の制度化の検討 労働法規適用なし 年金等による所得保障 *労働法を適用することが適切ではない人が働く場を失わないよう、十分に配慮すること。 P52 T-5地域移行 地域移行の法定化 ○「地域移行」とは、住まいを施設や病院から単に元の家庭に戻すことではなく、障害者個々人が市民として、自ら選んだ住まいで安心して、自分らしい暮らしを実現することを意味する。 ○すべての障害者は、地域で暮らす権利を有し、障害の程度や状況、支援の量等に関わらず、地域移行の対象となる。 ○国が、社会的入院、社会的入所を早急に解消するために「地域移行」を促進することを法に明記する。 ○国は、重点的な予算配分措置を伴った政策として、地域移行プログラムと地域定着支援を法定施策として策定し、実施する。 地域移行プログラムと地域定着支援 ○地域移行プログラムと地域定着支援は、実際に地域生活を始められるように、一人ひとりの状況に合わせて策定される。地域移行プログラムでは、入院・入所者に選択肢が用意され、本人の希望と納得のもとで施設や病院からの外出、地域生活を楽しむ体験、居住体験等のプログラムも提供される。また、地域定着支援では、地域生活に必要な支援、その他福祉制度に関する手続き等の支援や必要とする社会資源に結び付けるなどの環境調整も行うものとする。 ○地域移行プログラムと地域定着支援の事業は、国の事業として行う。施設及び病院は、これらの事業を受けるよう積極的に努めなければならない。施設及び病院がこれらの事業を行う場合には、地域の相談支援事業者、権利擁護事業者等の地域移行支援者と連携するための体制を整備しなければならない。 ○ピアサポーター(地域移行の支援をする障害当事者)等は、入院・入所者の意思や希望を聴きとりつつ、支援するノウハウを活かし、重要な人的資源として中心的な役割を担う。特に長期入所者や入院者に対する支援は、不安軽減と意欲回復のために、本人に寄り添った支援が必要である。 ○入所施設・病院の職員がそれぞれの専門性をより高め、地域生活支援の専門職としての役割を果たすため、国は移行支援プログラムを用意し、これらの職員の利用に供しなければならない。 P53 「地域移行」の法定化のポイント1 ・本来は誰もが地域で暮らしを営む存在であり、障害者が一生を施設や病院で過ごすことは普通ではない。 -国の審議会報告書として、ここまで踏み込んだ記載は初めて。 ・家族の状況や支援不足から希望していない生活環境にある障害者についても、本来地域移行の支援対象者に含まれるべきであり、一部屋に多数の者が住まう形態を解消し、地域生活を実現できるようにすることを検討されるべきである。 -社会的入所の問題は、家族丸投げや地域生活支援の不足の裏返しでもある。また個室ではない居室環境についても改善を求めている。 P54 「地域移行」の法定化のポイント2 ・地域移行プログラムと地域定着支援を入所・入院している障害者に提供しつつ、誰もが地域で暮らせるための地域資源と支援システムを整備する必要がある。 -入所施設や精神病床の削減目標は、敢えて今回の報告書には載せなかった。むしろ、地域移行プログラムと地域定着支援システムの重点化こそ、戦略的に目指される。 ・今後、「地域基盤整備10カ年戦略」等、入所施設・病院から地域生活への地域移行に向けた各種施策により、地域における基盤整備が進展する中で、入所施設・病院の役割や機能等、その位置づけを見直す必要がある -この「10カ年戦略」終了時に、入所施設の体系の見直しが明記された意味は大きい。入所施設の代表者も、地域移行そのものには反対していない。ただ、現に入所している人の安心確保と、地域の社会資源の整備不足の中で、現時点では入所の必要性はまだあると指摘。故に。10年後の見直しを位置づけた。 P55 地域移行プログラムと地域定着支援のポイント1 ・地域移行プログラムは、地域移行できる人を選別するものではないので、標準的なプログラムに適応できるかどうかを判断するものであってはならない。あくまでも本人支援という観点から本人に合わせた個別的なものとして準備されるものである。 -障害が重度、行動障害がある、などを「選別」してはならず、本人に合わせた個別的な地域移行プログラムが必要という視点。 ・地域移行支援者とチームを組むことができる仕組みを作ることが必要 -当然のことながら、地域移行は病院・施設と地域のチーム連携が必要。現状ではなかなか病院・施設が地域に門戸を開いていないが、今後は開かれる事が求められる。 ・施設・病院から外出したり、地域での生活を楽しむ体験等をしながら、自分の地域生活をイメージする期間も必要である。そのため移動支援等の福祉サービスを利用できる仕組みや経済的に困難な入院・入所者にはその費用を助成する仕組みが不可欠 -入院中からの地域移行プログラムへの重点支援 P56 地域移行プログラムと地域定着支援のポイント2 ・この事業を支える人材、特にピアサポーターを地域移行推進のための重要な人的資源と位置づけ、ピアサポーターの育成ならびに地域移行支援活動に対する正当な報酬等の財源を確保すべきである。 -自立生活センターや退院促進の自立支援員によるピアサポートの重要性が骨格提言の中でも盛り込まれている。 ・現行の施設・病院の職員がその専門性を地域支援に活かしていくことが、地域移行を推進していく上で求められることになる。その際には、職員には、地域生活支援の観点から支援の在り方について視点の転換が求められるので、その転換を容易にするための移行支援プログラムが用意される必要がある。 -入所施設の職員も、地域移行プログラムが進む中で、地域生活支援の視点を学び直し、地域生活支援のスタッフとして再スタート出来るような、OJTプログラムが求められている。 P57 T-6地域生活の資源整備 「地域基盤整備10ヵ年戦略」(仮称)策定の法定化 ○国は、障害者総合福祉法において、障害者が地域生活を営む上で必要な社会資源を計画的に整備するため本法が実施される時点を起点として、前半期計画と後半期計画からなる「地域基盤整備10ヵ年戦略」(仮称)を策定するものとする。 策定に当たっては、とくに下記の点に留意することが必要である。 ・長期に入院・入所している障害者の地域移行のための地域における住まいの確保、日中活動、支援サービスの提供等の社会資源整備は緊急かつ重点的に行われなければならないこと。 ・重度の障害者が地域で生活するための長時間介助を提供する社会資源を都市部のみならず農村部においても重点的に整備し、事業者が存在しないためにサービスが受けられないといった状況をなくすべきであること。 ・地域生活を支えるショートステイ・レスパイト支援、医療的ケアを提供できる事業所や人材が不足している現状を改めること。 ○都道府県及び市町村は、国の定める「地域基盤整備10ヵ年戦略」(仮称)に基づき、障害福祉計画等において、地域生活資源を整備する数値目標を設定するものとする。 ○数値目標の設定は、入院者・入所者・グループホーム入居者等の実態調査に基づかなければならない。この調査においては、入院・入所の理由や退所・退院を阻害する要因、施設に求められる機能について、障害者への聴き取りを行わなければならない。 *地域移行を促進するための住宅確保の施策についてはVを参照のこと。 P58 「地域基盤整備10ヵ年戦略」策定ポイント1 ・国は、地域における障害者向けの住宅、日中活動、訪問系サービス等を新たに大規模に提供することを目標にした「地域基盤整備10ヵ年戦略」(仮称)を策定すべきである。この際、設定される数値目標は、今後行われる入院・入所者への調査の結果等に基づいて設定されるものとする。 -入所施設や精神科病院の削減目標ではなく、地域の基盤整備を数値目標化することにより、「受け皿不足」問題を解消し、実質的な地域移行を促す。ゆえに、地域移行の調査と資源整備も連動させる。 ・都道府県、市町村の障害福祉計画はこの「10ヵ年戦略」に基づいた数値目標を設定すべきである。地方公共団体の障害福祉計画等で掲げられた地域移行者目標数値は、地域支援サービス整備の目標数値とともに現実に達成されることが求められる。しかし、地域移行は施設や病院から住まいを移行しただけで終るものではないため、移行後も地域での生活実態の把握や支援状況の検証を行なうべきである。 P59 「地域基盤整備10ヵ年戦略」策定 ポイント2 ・施設待機者は、全てが真に施設入所の必要な者とは言えない。障害福祉計画等で、単純に施設待機者数を施設設置の根拠とすることは妥当ではない。待機者は、さまざまな福祉サービス利用の待機者であるとの視点に立ち、具体的な地域基盤の整備を進めることが必要である。また再入院・再入所についても、障害者本人の問題としてのみ捉えるのではなく、地域支援の不足・不備からくるものとして検証し、再び地域移行にむけて支援を行うことが必要である。 -地域資源の基盤整備、とは、「施設待機者」を作らないため+地域移行者を受け入れるため、に必要な社会資源を生み出す事である。そのための「10カ年戦略」であり、それに基づく障害福祉計画という戦略作り、と整理している。 P60 障害福祉計画 ・障害者総合福祉法の支援資源を総合的・計画的に整備するため、市町村は市町村障害福祉計画を、都道府県は都道府県障害福祉計画を策定し、国はその基本方針及びそのための整備計画を示す。 ・障害福祉計画は、その策定過程と評価・見直し過程で、障害当事者、障害者の家族、事業者、その他の市民が参加する「地域生活支援協議会」の十分な関与を確保する。とくに知的障害・精神障害やこれまで制度の谷間におかれてきた障害者・難病などの当事者の参加が求められる。 ・基本方針および障害福祉計画の策定・評価は、客観的な調査データを踏まえて行なう。とりわけ地域社会での日常生活や社会参加の実態を障害のない市民のそれとの比較したデータを重視する。 ・国、都道府県、市町村は障害福祉計画の実施に必要な予算措置を講じる P61 障害福祉計画のポイント ・障害者自立支援法の障害福祉計画は、十分な当事者参加がなく、参加する障害者の障害種別が限定されていること、国の目標を人口比で当てはめた計画が多いこと、策定後の実施状況評価とその評価をふまえた改善・修正という面が弱いこと、などの課題が指摘されてきた。これらの克服が必要とされる。 -現行の福祉計画をそのまま踏襲するのではなく、上記の問題点を超えた形で、より当事者委員の参画をもたらす計画に作り替える。 ・障害福祉計画は、支援資源の計画的整備、障害当事者・関係者・行政の協議と相互理解の形成、一般市民や議会が障害者支援について理解する手段、実態調査などデータ収集の契機、など多様なメリットがあり、障害者総合福祉法でも既存の計画との関係性をよく整理した上で、継続発展させるべきである。 -基盤整備を行う上でも、後述の「地域生活支援協議会」と障害福祉計画の連動は不可欠 P62 地域生活支援協議会 ・地域における既存の社会資源を有機的に連携させ、地域全体にかかる課題を検討して地域社会の支援体制をより充実させる仕組みとして、市町村(ないし圏域)および都道府県単位で、障害者及びその関係者の参画を前提とした地域生活支援協議会を法定機関として設置する。 ・地域生活支援協議会は、その地域における障害者施策の現状と課題を検討し、改善方策や必要な施策を講じるための具体的な協議を行うほか、市町村又は都道府県における障害者に関する福祉計画策定に意見を述べるものとする。 ・とくに、都道府県単位の地域生活支援協議会は、上記のほか、広域的・専門的な情報提供と助言や市町村障害者福祉計画策定の支援機能を果たすものとする。 ・地域生活支援協議会は、ライフステージにわたる途切れない支援体制が整備されるよう、地域における様々な社会資源と連携するものとする。 P63 地域生活支援協議会のポイント ・障害者自立支援法の自立支援協議会についての評価はさまざまであるが、その地域に暮らす障害者本人の個別相談支援から、その地域における解決困難な課題に焦点をあてて関係者が議論をし、就労、子ども、住居等の部会を設けるなどして地域生活が実現可能となるための各種社会資源の連携や支援の新たな開発の役割をはたすことや障害福祉計画へとつなげる役割を果たすことなどが新しい地域生活支援協議会に期待される。 ・さらに、地域生活支援協議会が地域の社会資源等と有機的に連携し、より良い地域づくりの核として機能するようにするためには、以上のような機能を有するものとして、法定化することが必要である。 -自立支援協議会のバージョンアップと位置づけの明確化 P64 1-7利用者負担 ○他の者との平等の観点から、食材費や光熱水費など誰もが支払う費用は負担をすべきであるが、障害に伴う必要な支援は、原則無償とすべきである。ただし、高額な収入のある者には、収入に応じた負担を求める。その際、認定する収入は、成人の場合は障害者本人の収入、未成年の障害者の場合は世帯主の収入とする。また、高額な収入のある者の利用者負担については、介護保険の利用を含む必要なサービスの利用者負担を合算し、現行の負担水準を上回らないものとすることが必要である。 ○上記の障害に伴う必要な支援とは、主に以下の6つの分野に整理。 [1]相談や制度利用のための支援 [2]コミュニケーションのための支援 [3]日常生活を送るための支援や補装具の支給 [4]社会生活・活動を送るための支援(アクセス・移動支援を含む) [5]就労支援 [6]医療・リハビリテーションの支援 なお、[6]の医療については、障害者のすべての医療費を全額公費負担に、というものではなく、障害に伴う医療費の自己負担を公費負担にすることについて述べたものである。 ↓ 払うべきものは払う! 障害故に必要な支援は原則無償−高額な収入の場合は収入に応じた負担 (障害本人の収入に基づく) P65 1-8相談支援 ○相談支援の対象は、障害者総合福祉法に定める障害者、その可能性がある者及びその家族等とする。 ○相談支援は、福祉制度を利用する際の相談のみでなく、障害、疾病などの理由があって生活のしづらさ、困難を抱えている人びとに、福祉・医療サービス利用の如何にかかわらず幅広く対応するものとする。また、障害者本人の抱える問題全体に対応する包括的支援の継続的なコーディネートを行う。さらに、障害者のニーズを明確にするとともに、その個別ニーズを満たすために、地域でのあらたな支援体制を築くための地域への働きかけも同時に行うものとする。 ↓ ↓↓地域相談支援センター・総合支援センター ↓ ・本人等をエンパワメントするシステム ・セルフマネジメントと本人中心支援計画 ↓ ・市町村行政、サービス提供事業所からの独立性を担保 ↓ 特定専門相談支援センター 広域の障害特性に応じた専門相談支援や他領域の相談支援(総称して、特定専門相談センター) P66 第三者の訪問による権利擁護制度(T−9 権利擁護、V−1 医療より) ・国は、都道府県ないし政令指定都市単位で、障害者のそれぞれの生活領域(居宅、グループホーム、入所施設などにおける生活、日中活動や就労の場など)や場面(精神病院からの退院促進を含む地域移行)において、障害者の求めに応じ、障害者本人を含む権利擁護サポーター等の第三者が訪問面会を行う権利擁護のための体制整備を行うものとする。 ・精神科病院における権利擁護については、総合福祉法における第三者の訪問による権利擁護制度と連携協力する観点から、精神保健福祉法の見直しの課題として、入院中の精神障害者も含む精神科病院における権利擁護を定着させるための制度(例えばオンブズパーソン制度)を位置づける必要がある。 P67 第三者の訪問による権利擁護制度のポイント ・施設での権利侵害等に対しても、独自の調査と改善を求める機関として機能しているオンブズパーソン制度(元々スウェーデンで始まった行政に対する苦情処理と監察を行う第三者機関制度)を、障害者総合福祉法において、障害者本人の側に立って権利侵害の調査や改善を行うことを目的とする「第三者の訪問による権利擁護(オンブズパーソン)制度」として創設する必要がある -地域移行に繋がる、あるいは施設での権利侵害を予防・救済するための「第三者の訪問による権利擁護」をオンブズパーソンとして位置づけた。また精神病院入院患者に関しても、精神保健福祉法を改正して導入することを求めた。 ・地域移行と定着の過程で、本人の意思を無視したり、支援側のプランを押し付けたりしないよう、入院・入所者、グループホーム等の居宅者に対しては権利擁護サポーターなどが配置されるのも有効で、そのサポーターを当事者が担うこともあり得る。 -この「第三者の訪問」は地域移行と地域定着の場面において、権利擁護サポーターとして位置づける事も提起された。 P68 1-10報酬と人材確保 ○利用者への支援に係る報酬は原則日払い ○事業運営に係る報酬は原則月払い ○在宅系支援に係る報酬は時間割とする。 ○福祉従事者が誇りと展望を持てるよう適切な賃金を支払える水準の報酬とする P69 U.障害者総合福祉法の制定と実施への道程 1.障害者自立支援法の事業体系への移行問題 ・自立支援法の事業移行期限終了後も一定の要件の下で移行支援策を継続する。 2.障害者総合福祉法の制定及び実施までに行うべき課題 ・総合福祉法の制定及び実施に当たり地方自治体の意見を踏まえる。 ・総合福祉法の策定及び実施のための実態調査や試行事業を行う。 3.障害者総合福祉法の円滑な実施 ・総合福祉法を補完する、あるいはこれへの移行を支援する基金事業を設けること。 4.財政のあり方 ・国は予算措置に必要な基礎データを把握する。 ・障害関連予算をOECD諸国の平均水準を目標漸進的に拡充する。 ・財政の地域間格差の是正を図る。 ・財政設計にあたり一般施策での予算化を追求。 ・障害者施策の推進は経済効果に波及する。 ・支援ガイドラインに基づく協議調整による支給決定は財政的にも実現可能である。 ・長時間介助等の地域生活支援のための財源措置を講じること。 P70 長時間介助などの地域生活支援のための財源措置(U-4.財政のあり方) ・国は、長時間介助に必要な財源を確保する。 ・地域移行者や地域生活をする重度者に関する支援サービスに関して、他の支援サービスの場合における負担と支給決定のあり方とは、異なる仕組みを導入する。 ・国は、地方自治体が、国庫負担基準を事実上のサービスの上限としない仕組みを財源的に担保するとともに、地方公共団体の財源負担に対する十分な地方財政措置を講じる。 P71 長時間介助などの地域生活支援のための財源措置(U-4.財政のあり方)のポイント1 ・施設・病院から地域移行する人や親元から独立して別市町村で暮らす障害者については、出身自治体が一定年度の財政負担(恒久的かどうかは検討)をした上で、居住自治体での支給決定をすることも検討してはどうか。 ・例えば、入所施設や病院への入院・入所者の地域生活移行等を促進するため、居住地と出身地で費用を負担してはどうか。 ・入所施設やグループホーム、ケアホーム利用者の自立支援給付についての現行の居住地特例は当面継続しつつ課題を整理し、施設・病院等から地域移行する人等の扱いと併せて、そのあり方を慎重に検討することが必要 P72 長時間介助などの地域生活支援のための財源措置(U-4.財政のあり方)のポイント2 円グラフ=居住地の市町村25.0%・都道府県25.0%・国50.0%→円グラフ円グラフ=居住地の市町村12.5%・出身地の市町村12.5%・都道府県25.0%・国50.0% -入所施設の「城下町」自治体では、施設の近辺に移り住み、そこが居住地となる障害者住民の受け入れを拒否する可能性がある。 -スウェーデンは1990年代のエーデル改革において、社会的入院を解消する為に、出身地市町村の支払い義務を持たせることにした。 -故に、長時間介護を必要とする人が住民票所在地を移す場合、出身地も一定の責任を持つことによって、過度な負担を防ぐことが可能 P73 国庫負担基準の見直しについて その1長時間介助などの地域生活支援のための財源措置のポイント3 ・国庫負担基準について次のような考え方が考慮されるべき ・(1)地域生活する重度者について、現行の国庫負担基準以上の負担は国の負担とすることを原則とする。ただ、そのことが無理な場合、例えば都道府県での基金化も含め市町村負担を大幅に引き下げる対応を考えるべきである。 ・(2)ホームヘルプについては、8時間を超える支給決定をする場合は、8時間を超える部分の市町村負担は5%程度に下げ、都道府県が45%を負担し、8時間以内の支給決定をする場合および8時間以上の支給決定の場合の8時間分については、市町村負担を26%とし、都道府県負担の1%を確保 して使うようにする案を提示した。(図参照) ・なお、ホームヘルプにかかる国の負担割合は現行5割であるが、地域格差なく、必要とされるサービス提供が保障されるためには、現行以上の国の負担割合を検討すべきである。 P74 国庫負担基準の見直しについて その2長時間介助などの地域生活支援のための財源措置のポイント4 1日8時間以下の訪問系サービス(国50%・都道府県24%・市町村26%)1日8時間以上の訪問系サービス(国50%・都道府県45%・市町村5%) ・8時間を境にする理由は、重度訪問介護の区分6の国庫負担基準が約40万円で、月212時間程度の単価となり、1日当たり7時間超であることから -国予算だけで負担しきれない時、都道府県の基金化された予算を充当し、市町村単独の負担をなるべく減らす考え。 P75 何としても実現したい地域生活 ・すべての障害者の地域生活の権利の確認 ・障害程度区分(連動した国庫負担基準)の廃止→協議・調整による支給決定と本人中心計画や各種エンパワメント支援 ・重度訪問介護の発展によるパーソナルアシスタンス制度 ・サービス費用に対する国庫負担金+長時間介護の財政調整 ・地域移行と地域基盤整備計画(財源確保) P76 部会骨格提言とその後の見通し ・8月30日の部会で55名部会構成員総意の下、総合福祉法骨格提言とりまとめ ・9月以降は厚労省を中心に法案化作業 ・この間第1期、第2期作業チーム報告に対して、きわめて消極的な厚労省コメント、障害者基本法改正にみられた巻き返し等 ・9月以降も部会を持つ方向で調整中 ・今秋から来春(3月?)法案の閣議決定までが勝負 P77 今こそ、われら自身の声と力を ・来春までの運動を考えるいくつかのポイント ・@JDFを軸とした障害者団体の連携の維持 cf 自立支援法時の「賛成○団体、反対×団体」 ・A地方自治体からの異論等への対応 ・B世論、マスコミ対策 ・C政党・議員対策−与野党関係議員へのアプローチと与党議員の意識喚起 →全国各地での地域集会(地域フォーラム)+何波に渡るロビー等 P78 今が勝負所!「皆さんにお願いしたい事」 @ 地元選出国会議員へのロビー活動 ・ 地元選出国会議員に直接会いにいってください。 ・ 骨格提言を法案に忠実に反映させるように、お願いしてください。 ・ 一度会って関係をつくっておけば、今後必要なときにまた会いやすくなります。ロビー活動は情勢によって、このあとも必要になります。その時は呼びかけますので、ぜひ、再度働きかけをお願いします。 A 地方自治体・地方議会への働きかけ ・ 今後、地方自治体からの懸念とそれを理由に厚労省の巻き返しが予想されます。そうならないように、地方自治体や地方議会へ働きかけて、地方から総合福祉法の制定を求めるような要望を出させるように働きかけてください。 ・ 地方議会へは、請願をだしてもらうように働きかけます。 B ここ一番は、全力で結集を! ・情勢によっては、大規模な行動があるかもしれません。 ・その時は、全力で結集をお願いします。 P79 世論形成への参考資料 P80 我が国の2050年の姿は ・国立社会保障・人口問題研究所2011年人口統計資料集によれば、人口構成における65歳以上の割合は、2050年には、39.6% ・我が国では、障害者の統計上の割合は、3障害合わせて5%程度とされているが、諸外国の10〜20%とされる統計の中位の15%の半数を65歳以下と考えれば、7・5% ・つまり、2050年の我が国の障害者・高齢者人口は、47%と、ほぼ過半数に近づくことになる。 ・もっと言えば、周りをみれば、その半数は障害者か高齢者という社会がやってくるのだ! P81 そのことは、何を意味するのか? ・そのことが意味するのは、3つしかない。 ・まずは、この国の、衛生・栄養・医療等で、ずば抜けているという誇るべき豊かさが、その結果を産んだことである。 ・もうひとつは、子供を産み、育てるにあたって、弱点をもつ国だということである。 ・そして、もっとも重要なのは、近未来国民の過半数に達せんとする、障害者や高齢者を、社会の弱者やお荷物とみなすことは、国民の過半数の社会参加と社会貢献を蔑ろにすることによってこの国を破産・破滅させてしまうということである。 P82 福祉国家批判イコール新自由主義か? ・福祉国家・社会が、いかに高福祉・高負担であろうと、すべての市民の平等の参加・参画を社会的に支援しているのであれば、問題なし。 ・福祉国家・社会が、高齢者や障害者等を弱者として位置づけ、社会的保護等を提供せんとしているのであれば、それは批判されるべき。 ・その違いは、決定的。 ・後者は、多くの市民を無力化・依存化する。 ・前者は、すべての市民を、エンパワーメントする。 P83 「無力で保護を要する存在」から「共に役割・価値を担う存在」へ ・これから、私達には、旧来の自己決定・選択権なき生存権に基ずく、施設・病院福祉のもつ「安全性」「効率性」といった価値を超えた、地域自立生活の「社会貢献性」「参加・参画性」の価値理念の市民合意形成が必要 ・その際、これまでの恩恵・保護主義が、「一方的に与えられる、何も生まない福祉」であり、これからの地域自立生活主義が、「参加・参画によって、社会の中で、確かな役割を担う存在への支援」であることを、アピールする必要がある P84 「インクルーシブ社会」の定義 ・「構成員の誰もが、相互に必要な支援・社会資源を活かして、その社会において可能な市民的役割と参加・参画(家族・地域市民・公民としてのさまざまな役割)を実現すること(エンパワーメント)によって、多様で多彩で活力ある社会を創出すること」(北野の定義) ・その際、障害者等が市民的役割を果たすにあたって、ユニバーサルなバリアフリー対応と、それでもなお個別的に必要な合理的配慮が求められるが、それを、誰がどのように負担するのかという問いから、いかなる社会も免れ得ない。 P85 2.ノーマライゼーションとインクルージョン図 全体矢印:社会的排除(SE)から社会的包摂(SI)へと向かう、ノーマライゼーションの展開図 S段階セグリゲーション隔離・分断 (地域)社会→入所施設・養護学校・精神病院 ↓N-1段階インテグレーション統合 (地域)社会に(養護学校・通所施設・グループホーム・小規模作業所・車イス専用トイレ)→?段階メインストリーミング擬似主流化 ↓N-2段階メインストリーミング主流化 (地域)社会に(障害者事業所・雇用率の厳守・バリアフリートイレ・遊園地・住宅・まちづくり) ↓N-3段階インクルージョン個性間共生 (地域)社会に(ユニバーサルデザイン住宅・トイレ・遊園地・まちづくり・世代間共生+個別バリアフリー対応) P86 *図【3−図】わが国の「地域自立生活支援」の流れ 「完全参加と平等」の理念 1981年 国連・障害者の10年、国際障害者年 ↓ 所得保障 1986年 障害・老齢基礎年金、国民年金改革 ↓ ソーシャル・プランニング 1990年・1993年 障害者基本計画、老人保健福祉計画 ↓ 住宅保障(?)バリアフリー 1994年・2000年 交通バリアフリー法、ハートビル法 ↓ 介護の社会化と利用契約 2000年 介護保険、社会福祉基礎構造改革 ↓ 事業(所)の多元化と地域化? 2003年 地域福祉計画(障害者支援費制度)措置制度から利用制度へ ↓ 公費の適正化? 2006年 介護保険改革・予防給付、障害者自立支援法 ↓ 多様な共生(インクルージョン)開始 2007年 千葉県障害者差別禁止条例、国連障害者権利条約制定 ↓ 多様な共生(インクルージョン)展開 2010年 障害者改革推進会議・部会で差別禁止法・総合福祉法等の検討始まる P87 違い・多様性(Diversity)を排除(Exclusion)する社会から ・この国における市民権を求める障害者運動の困難さは、特に、教育現場や就労現場に多く見られる。その理由は、 @Diversity(人種・民族・宗教・性・障害等の違いに基く多様性)が、その社会の基本構造として認知されていないこと A一斉、人に合わせる、違わない、右へならえ、自己主張しないことが、望ましいことと見なされていること B職場で働くこと or 一斉に学ぶこと以外は、すべて遊んでいること or 怠けていることとしか理解されない(できない)悲しい国民的性(さが) ・が、私たちの多元性・多様性や柔軟性・可能性を呪縛して、違っていても(違っているから)豊かでおもしろい学校や職場や地域社会を排除(Social Exclusion)してしまっている。 P88 みんなの権利を、あたりまえの権利に! @まずは、これは障害者の権利なんかではなく、市民(国民)一般の権利が、これまで市民(国民)の一員としてすら認められていなかった障害者にも適応されるだけであることを、障害者を含め市民(国民)全体に理解してもらうために、あらゆる会議・集会・活動でそのことをアピールする。 A学校や職場や地域で、女性や高齢者や多国籍・多文化の人や障害者など(Diversity)が、うまく参加・参画できることは、それ以外の学生・労働者・市民にも学びやすい・働きやすい・過ごしやすい場であることを、ユニバーサル・デザインを含めて、さまざまな実践を通して相互に会得してゆく。 P89 社会(国民)的合意の向けた8つの戦略 B障害者の定義と範囲を大幅に拡大して、影響力を高める。 C自分自身や家族の障害をカミングアウトできる、地域と文化を作る。 D障害者(運動)と連帯できる、高齢者(運動)や女性(運動)や反貧困運動や消費者運動を支援し連帯する。 E参考になる諸外国の実践や制度を、ともに学ぶ機会をつくる。 F自治体レベルでの差別禁止条例づくりに向けて、地域レベルで協働する。 G広く、マスメディアや音楽・芸術・芸能界等に呼び掛け、協賛・協働する。