ボランティア体験記

今井 慎二さん (障害者団体職員・看護師)

私は平成23年6月13日〜18日の期間で盛岡市にある「被災地障害者センターいわて」にて活動させて頂きました。


支援活動の実際について

私が活動した時点での「被災地障害者センターいわて」は岩手県沿岸部被災地での避難所、仮設住宅、またはかろうじて倒壊を免れた個人宅にいる障害を持つ方への支援を提供していました。 支援は大きく分けて2つで、一つは既にその人の「困っている状況」を発見し、その当事者との関係をある程度つくりあげ、具体的に継続的に生活面での支援を提供するものでした。 例えば避難所に暮らす発達障害の方への見守り的な生活支援を行なうものです。

一緒に散歩に行ったり、近くの商店に買い物に行く、というような時間の過ごし方です。

24時間ずっと、同じ人が顔をつき合わさざるを得ない避難所の生活のなかで、外部の私たちのようなボランティアが僅かな時間でも共に過ごし気分を転換し、ストレスを軽減するなどのかかわりが求められているようでした。

避難所という閉鎖的な生活環境のなかで、発達障害ゆえのその人の独特の生活行動が周囲との摩擦を生じさせ、周囲との感情的な軋轢も大きくなっているところでした。

それにもうひとつはそうした具体的な支援のニーズを発掘するために、避難所や仮設住宅を訪問してまわるものです。

仮設住宅は、やはり応急的なものであり、設備も画一的なもので、障害のある人それぞれの身体の状態に応じたトイレや風呂が用意されている状態ではありません。

震災前は身体に合わせた住宅で自立して生活してきた人が、仮設住宅では介助がなければトイレも一人で出来ないという状況の陥り、一緒に仮設で暮らす妻に大きな負担がかかり、ご夫婦がとても辛い思いをされているという方と相談させていただいたりしました。


活動を通して考え、感じたこと

一週間程度と本当に僅かな期間の活動でありましたが、障害当事者がおかれている被災地での状況、特に避難所や仮設住宅で生活に困難を抱えている当事者の訪問調査を通じて障害者福祉の都市部との地域間格差の実態を垣間見、同じ日本でも住んでいる地域により障害当事者が置かれている状況がこれほど違うものなのかと実感し、今後の復興のなかで、障害者福祉を新たに創りなおしていくがどうしても不可欠なことであると考えました。

被災地での支援活動は、本当に一刻を争う状況にあります。特に避難所などに置かれた障害当事者が、苦しくても「苦しい、困った。」と声をあげることの出来ない状況は、当事者にとりどれほど辛いものであるかと思いました。

が、一方でこの震災の前にも、こうして私が向き合ってきた当事者がどのような生活状況に置かれていたのかも冷静に思いをはせてみる必要があると感じました。

福祉を取り巻く、特に財政的な面での制約のなかで、やむを得ない側面もあるのだろうと思いますが、地域により利用出来る福祉のサービスにこれほどの違いがあると、障害を持って生活する人生のQOLも大きく違いものであるだろうと思えました。

こうした現状を変えていくためにも今後の復興には、やはりどうしても障害当事者が声をあげていくことが不可欠であると考えました。

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